この記事をまとめると
■眠気があるまま運転すると大事故を起こすキッカケになる
■眠気を感じたら仮眠を取るのがベストだ
■15〜30分ほど寝るのが最適でそれ以上寝るとかえって逆効果になる
仮眠に最適な時間とは
運転中に眠気を感じたとき、ドライバーの皆さんはどうしているだろうか? 目的地が近いと「少し我慢して運転を続けよう」と考える人も多いだろう。しかし、我慢は禁物、仮眠はとったほうがいい。眠気は脳からの明確な危険信号だ。無理な運転は重大事故のリスクを高める。実際、警察庁の統計でも、居眠り運転による事故は、危険を回避せずに衝突するため、死亡や重傷に至るケースが多いと報告されている。眠気を感じたら、できるだけ早く安全な場所にクルマを停めて休憩や仮眠をとることが、事故防止の最善策である。
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最新の研究では、長時間運転による疲労や眠気は、脳の覚醒レベルが低下し、注意力や判断力が著しく落ちることが明らかになっている。こうした状態では、カフェインやガムなどの一時的な眠気覚ましも効果が限定的であり、根本的な解決とはならない。
脳をリセットし、再び安全に運転できる状態に戻すには、やはり「睡眠」が不可欠なのである。しかし、この場合、しっかりとした睡眠でなく仮眠でもいい。仮眠といえども、その効果はバカにできないからだ。
<適切な仮眠時間は「20分前後」>
では、実際に眠気を感じたとき、どのくらいの時間の仮眠をとるのがもっとも効果的なのだろうか? 国内外の論文やマニュアル、各種調査を総合すると「20分前後」の短時間仮眠が最適であるという結論が導かれる。
NASA(アメリカ航空宇宙局)が行ったパイロットの眠気対策に関する研究では、15分から20分程度の短い仮眠が覚醒度を顕著に向上させ、その後の認知機能を回復させるのにもっとも効果的であると報告されている。また、関西大学の研究でも、80分間の運転後に約20分の仮眠をとった場合、心拍数や眠気の自覚症状が顕著に改善し、再び安全に運転できる状態に戻ることが実証されている。とくに「眠気」「だるさ」「ぼやけ感」などのスコアが仮眠前後で大きく改善し、仮眠の効果は一時的なものではなく、一定時間持続することも示されている。
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さらに、(公財)高速道路調査会の研究でも「15~30分程度の短時間仮眠」がもっとも効果的であると推奨されている。これは、睡眠のメカニズムに基づいたもので、20分程度の仮眠であれば、「ノンレム睡眠の浅い段階」で目覚めることができ、すっきりと覚醒しやすい。逆に30分を超えてしまうと、深い睡眠段階に入りやすく、起床時に「睡眠慣性」と呼ばれるいわゆる「寝ぼけた状態」で、強い眠気やだるさが残ってしまうリスクが高まる。
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さらに、(公社)全日本トラック協会の『トラックドライバー睡眠マニュアル』でも「眠気の解消だけなら20分以内」、「疲労も回復したい場合は2時間以上」と明確に記載されており、短時間仮眠の有効性が裏付けられている。つまり、運転中に眠気を感じた場合は、まず「20分前後」の仮眠を目安として休憩をとることが、もっとも安全かつ効果的な対処法なのである。