だってオタクのメーカーが作ったクルマでしょ? いくらゴネても「旧車」のメンテを「ディーラー」じゃ行ってくれない理由 (2/2ページ)

基本的には専門店に預けるのがセオリー

■ハコスカに精通した専門店にもち込むのが最適解だが……

 では、どこにもち込めばいいのか?

 いうまでもなく、ハコスカに精通した専門店です。ただし、この手のショップは一見さんお断りの可能性も大いにあります。既存のお客さんだけで充分にまわっているので、新規を受け付ける余裕がなかったり、紹介でなければ仕事は受けないなど、理由はさまざま。

 また、工場に看板すら掲げず、常にシャッターが降りていてなかの様子がうかがえない……。Googleマップにも表示されないような、知る人ぞ知る名店のような名医が全国各地でひっそりとメンテナンスを行っていたりします。たまにシャッターが半分くらい開いていてこっそりなかをのぞき込むと、とんでもないクルマがリフトにあげられていたりして驚くことになるのです。

 知る人ぞ知る名医に診てもらえるか。正面突破でどうにかなる場合もありますが、はっきりいってイチかバチか。頼りになる主治医が見つかっていないとしたら、同じクルマを所有するベテランオーナーに相談して、場合によっては紹介してもらうのも手です。いうまでもなく、これはハコスカに限らず、ほかの旧車やネオクラシックカーでも同様です。

 このとき、ビギナーであれば紹介してもらえますが、行く先々でトラブルを起こしているようなオーナーであれば断られる可能性が高いでしょう。すでに「要注意人物」として、主治医同士の横のつながりで情報共有が行われているのです(狭い世界ですから)。

■まとめ:ディーラーにもち込むのは完全アウェイ。しかし、塩対応を攻めるのはナンセンス

 ノルマがあるのはディーラーのセールススタッフだけではありません。サービス部門にもあります。そのためにも、限られた工場のスペースと人員を効率よくまわしていく必要があります。

 仮にディーラーでハコスカの入庫がOKになったとしましょう。しかし、長期間リフトを占有し、古いクルマだけに雨ざらしにしておくわけにもいかない。つまり、店を閉めるたびに工場のなかに移動させ、必要に応じて外に出さなければなりません。エンジンの始動方法やクラッチ操作など、古いクルマに精通しているスタッフでなければ動かすのもひと苦労でしょう。

 現代のクルマであればなんてことない行為でも、旧車ともなればデリケートな扱いが求められます。それはまさしく「腫れ物」以外の何物以外でもありません。ディーラーとしては(仮に100万円単位での請求ができたとしても)、預かるにはリスクが高すぎるのです。

 なので、ハコスカがセレナなどと同じ日産車だからといって、「ディーラーからぞんざいな扱いを受けた!」と憤慨するのはナンセンスです。もちろんこれは日産だけに限らず、どの国産メーカーでも基本的には同じです。仮に受け付けてくれるディーラーがあったとしたら、まさしく奇跡であり、その善意に対して最大限の恩返し(可能であれば足車を買ってあげるなどの)が必要です。


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松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

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1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
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