この記事をまとめると
■日産の未来に不安の声が上がっている
■次世代電動化モデルを公開している日産だが具体的な電動車事業戦略は明らかにしていない
■日産の2030年代構想の見直しがどのように示されるのか今後の動きに注目
日産は業績回復して巻き返しを図ることはできるのか
電動化時代、技術の日産はこれからどうなるのか? 長らく日産を愛してきたユーザーは、期待と不安の両面から日産の未来を見つめている。
ユーザーが、日産の企業業績に対するクエスチョンマークを意識するようになってからまだ日は浅い。いい方を変えれば、なぜここまで一気に業績不振に陥ったのか理解できない、という印象をもっている人が少なくないだろう。
時計の針を少し戻せば、2019年に内田体制となり、潜在的なゴーン体制からの刷新に動いた。アシュワニ・グブタCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)と連携し、コロナ禍で日産再生計画「NISSAN NEXT」を公開。グローバルで事業の最適化を進めると同時に、滞りぎみだった新車導入を積極的に進めた。その代表例が「フェアレディZ」であり、電動化では「キックス」で第2世代e-POWERを導入した。
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課題だった北米事業でも、販売奨励金(インセンティブ)を乱発する値引き販売から脱却して、販売のクオリティを上げたはずだった……。
ところが、ルノーとの資本関係の見直しプロセスが進むなかで、グプタ氏が退任。北米でEV市場が減速し、ハイブリッド車の需要が急拡大するなかで、日産は再びインセンティブに頼る販売を続けるしかなかった。
2024年に入ると、電動化と知能化について、ホンダとの協業体制を敷くことを発表。さらに、両社は経営統合に向けた協議を進めたものの、年が明けて経営統合についてはご破産となった。それでも、電動化と知能化について日産とホンダが次世代技術での協議は継続するとしている。
次世代SDV事業での提携を結んだときの日産とホンダ画像はこちら
ところが、具体的に日産とホンダそれぞれの技術が、いつどのように融合するのか、または独自性を維持するのかについて、現時点では外部に情報が漏れてこない。
それよりも、4月からのエピノーサ体制では日産のマザー工場である神奈川県追浜工場や、日産車体・湘南工場の閉鎖に関して一部報道があるなど、日産の事業規模が急速に縮小するのではないかという不安が、国内自動車産業界に広がっているところだ。
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3月には、追浜工場に隣接するテストコースで、欧州仕様「キャッシュカイ」を用いてe-POWERの第2世代と第3世代との乗り比べを体験。同時に、国内導入を計画している大型SUV「パトロール」にも試乗することができた。加えて、「リーフ」についても第3世代のデザインが公開されている。
第3世代e-POWERqを搭載した日産キャシュカイ画像はこちら
このように、日産は段階的に次世代電動化モデルを公開しているのだが、日本市場での具体的な電動車事業戦略については明らかにしていない。内田体制で打ち出した、2030年代構想の見直しがどのように示されるのか、日産の今後の動きを注視したい。