クルマ好きの子どもに育てるならまずはペダルカーから……って親のクルマより高いじゃん! 誰が乗るのか数百万円の「おもちゃのクルマ」の世界 (2/2ページ)

仕上がりは実車さながら

J40モーターカンパニー・オースチンJ40

 見るからに子ども向けペダルカーながら、往時のオースチンをモデルにした由緒正しきビンテージモデル。こちらはペダルカーそのものもさることながら、グッドウッドで開催されるセトリントンカップという子ども向けレースが奮っています。

 というのも、1950年代を模した雰囲気を重視しており、J40というクラシックモデルのワンメイク、装備・仕様はもとより、ドライバーの服装までチェックされるという徹底ぶりなのです。

 また、ペダルカーはすでに生産されていないもので、専門のレストアショップでなければ手に入らない、レストアできないという代物。当然、お値段も前述の2台に負けず劣らずの高価格となっています。

 が、こちらは子ども同士のレース、しかも優勝者はグッドウッドスピードフェスティバルに正式に招待されるという特典付き。とはいえ、これまたグッドウッドで走れるようなクラシックカーをお乗りの親御さんがいなければ始まらないはず。英国人って、どんだけ貴族趣味なんでしょうかね(笑)。

ロールス・ロイス・SRH

 高級ペダルカーといえば、ロールス・ロイスをおいてほかになし! といいたいところですが、こちらのSRHはちょっと毛色が違って市販しているものではありません。車名のSRHは「セント・リチャード・ホスピタル」の略で、つまりは病院のために作られた1台だけのスペシャルモデルということ。

 これは、同病院に入院している子どもの患者が、手術室に向かう際に乗るミニチュアEVで、ロールス・ロイスが「子どもたちの手術前の緊張を少しでも和らげたい」と願いを込めたもの。セント・リチャード病院の廊下には道路標識まで設けられ、病院側も子どもたちの心のケアに熱心。

 無論、ロールスの仕事ですから、ボディペイントから、パワートレインに至るまで手抜かりなし。伝統の2トーンペイントに始まり、コノリーレザーのシート、24Vバッテリーを使ったパワートレーンなどがすべて手作りで、制作には400時間を費やしたとか。

 そして、ロールス・ロイスらしいのは決して値段を公表しないところかと。砂漠での修理代に対して「なにかのお間違えでは? ロールス・ロイスは壊れません」のエピソードっぽくて慇懃だけど、ちょっと感服してしまいます。もっとも、親に変わってロールス・ロイスのエゴといってしまえば元も子もないんですけどね(笑)。


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報