都バスで相次ぐ乗客の置き去り! 運転士が目視で確認は限界……有効な手段とは? (2/2ページ)

最新技術を導入しても完全解決は難しい?

「確認漏れ」という根本原因は否めないのだが、酔客だけではなく部活動などで疲れた高校生などが床で爆睡していることもあるようで、とくに夜間となると暗いので見落とすこともあるようである。置き去り防止としては、とにかく終点停留所や車庫に帰ってきたときには運転士が車内を入念にチェックするしかないなか、幼稚園バスなどが対象となる置き去り防止装置に路線バス事業者も注目したのである。

 置き去り防止装置はAI機能などで自動検知するようなタイプもあるようだが、メインとなるのは、エンジン停止後にブザーが鳴り、そのブザーの停止ボタンを最後部に設置することで運転士に入念な車内確認を促すというタイプのものが目立っている。意外にアナログチックに見えるのだが、いわゆる「ヒューマンエラー」が原因となる車内置き去り事案なだけに、運転士に目視で車内確認徹底を促すしかないようである。

 先日、バス業界向けの展示会に行った際には、AI機能にてバス車内で着席せずに立ったままで危険な姿勢の乗客がいることを検知して、運転士に映像と警報音で知らせるというシステムが展示してあった。

 車内転倒事故を防止するために、空席がある時には着席を徹底させてから発進できるようにするシステムなのだが、近年のAI技術の進歩からいけば、帰庫時などに車内に乗客が残っていないかなどをAIで自動検知させることも可能なのだろう。そのようなAIを活用しながらも、最後は幼稚園バスなどの置き去り防止装置のように、運転士の目視確認を徹底させるダブルチェックがもっとも効果的ではないかと考える。

 そこで思うのが、完全自動運転バスとなった場合に車内置き去り事案というものはどうなっていくのかということだ。完全自動運転バスを導入しても、帰庫時はまだ人力で車内確認はできる。だが、終点バス停などでは車内の残っている乗客を検知するだけならできるかもしれないが、酔客や爆睡客に降車を促し、そして実際降車してもらうことも自動でできるのか? と大いなる疑問を感じたのである。そのように考えると、少々SFチックなのだが、自律歩行型のロボット運転士が路線バスを運転したほうがいいのでは、とも考えてしまった。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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