チューニング界で大人気の名機
■L型エンジンのバリエーション
このL型エンジンシリーズは、排気量のバリエーションが多いことも特徴のひとつです。
当初は1998ccの「L20型」のみでしたが、次いで北米市場向けの「フェアレディZ」用として2393ccの「L24型」、2565ccの「L26型」、2753ccの「L28型」が順次リリースされていきます。
また、1975年に施行された排出ガス規制への対応で、それまで使用していたキャブレターから電子制御燃料噴射装置へと変更され、「L20E型」というように型式の末尾に「E」が付くようになります。
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そして、徐々に厳しさを増す排出ガス規制によって出力が落ち込むのを挽回するため、ターボチャージャーを装着したモデルも登場します。型式は末尾の「E」の後に「T」が加えられます。
さらには、ディーゼルエンジン仕様の「LD28型」とそのターボ仕様の「LD28T」も存在します。これはディーゼル向けに内径と工程を変更、超ロングストローク設計とし、直噴化が行われています。
ちなみにL型シリーズのなかでもっとも工程(ストローク)が大きいのがこの「LD20型」になります。
■チューニングベースとしてのL型エンジン
さてこのL型エンジンシリーズは、現役の時期には数多くの車種に採用されたため、その生産台数はかなりの数に上ります。
そして、多くのバリエーションを生みましたが、そのほぼすべてのユニットは細部が異なるものの、基本形状やサイズが同じで、マウントの取り付け方法が共通のため、異なる仕様のユニットへの載せ替え作業がいたって簡単に行えてしまいます。
そのため、当時は最大排気量の「L28型」ユニットが人気となり、日産車の改造界隈では「エルニッパチ・ノセカエ」という言葉が飛び交っていたようです。
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また、ほとんどのユニットでボアピッチやクランクシャフトの支持部の径などが共通だったことから、巷のチューニング界隈では異なる仕様のパーツを組み合わせて改造(チューニング)を行うことも広まっていきました。
たとえばL20型ユニットをベースに、L24型のクランクシャフトとコンロッドを移植してストロークアップによる排気量拡大を狙ったりということが手軽にできたのです。
こうして手軽に自分の狙った仕様に仕立てられること、そしてもし壊れても中古の車体からいくらでも代わりのエンジンが調達できるとあって、そこからチューニングブームが始まりました。
そんなL型エンジンシリーズですが、旧車のブームが盛り上がり、海外にも多くのタマがが流出したことなどもあって、今では価格が高騰、とても気軽に入手できる状況ではなくなってしまいました。
L型エンジンのチューニングの楽しさを多くの人に気軽に体験してもらえなくなってしまったことは残念です。