日本じゃ絶滅寸前のステーションワゴン! 一方新興国ではジワジワ人気が増している!! (2/2ページ)

ステーションワゴン市場に中国ブランドが相次いで参入

 2020年、タイにて中国上海汽車系のMGは中国では別の上海汽車系「栄威(ロエベ)」ブランド車としてラインアップしているステーションワゴンタイプのBEV(バッテリー電気自動車)となる「MG EP」をデビューさせた。それまでステーションワゴンをほぼ見たことがなかったタイの現地来場者の多くが興味深く展示車を眺めていた。

 このEPは、タクシーなどフリート販売向けのようで、その後一般乗用車向けとしてMG ESが登場している。ちなみにタイではステーションワゴンというカテゴリーが存在しないと聞いている。

 そのEPはいまやポストカローラアルティス(セダン)タクシーといっていいぐらい、タクシー車両としてバンコク市内を走っている。カローラアルティスタクシーのようなICE(内燃機関)車両では、ガソリンではなくガスを燃料としていることも多く、トランクにガスタンクを抱えるので積載性能に問題があった。そこでゼロエミッションであり、積載性能も十分確保できるステーションワゴンスタイルのEPに白羽の矢が立ったようなのである。

 一方、2025年4月末から5月上旬にかけて開催された「上海モーターショー(上海国際汽車工業展覧会)」会場では、ブランド初のステーションワゴンとしてBYDオート(比亜迪汽車)が、日本でもおなじみのシールのステーションワゴン版となる「シール06 DM-i ツーリングエディション」をワールドプレミアさせた。

 GWM(長城汽車)ブースへ行くと、ポルシェ・パナメーラを小さくしたようなBEVとなる、ORAライトニングキャットに、パナメーラ・クロスツーリスモのような「ライトニングキャット・ツーリングエディション」が展示してあった。

 中国では伝統的にセダンが人気を博していたのだが、2010年あたりに一瞬だけ欧州系ステーションワゴンが注目されたりしたのだが、そのあとクロスオーバーSUVに販売主力車種が移ってしまった。現状、セダン系はタクシーやライドシェアのようなフリートユースメインとなり、クロスオーバーSUVが大衆車から高級車までマイカーニーズをカバーしているのだが、やはり感度の高い都市在住者などを刺激する意味もあり、ステージョンワゴンがじわじわ注目されているように見える。上海市内を見ればタイでMG EPとして販売されているモデルがタクシーの主流となっている。タクシーで便利に使っている様子を見ることでより興味をもつひとも増えているのかもしれない。

 欧州ではカローラといえば、セダンはなくツーリングが販売の中心となっている。日本のツーリングより全幅が広く全長も長く、かつてラインアップしていた「アベンシア」の後継も兼ねた大きさとなっている。イギリスでは「カローラコマーシャル」というモデルもラインアップされているのだが、欧州全体でも広くタクシーとして使われている。

 現行カローラは日本では改良したばかりだが、ボチボチ次期型が登場してもよいタイミングとなっている。もしかしたら東南アジアや中国でもステーションワゴンとなるツーリングがラインアップされるかもしれないと密かに考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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