渦中のイランでプジョー206が207顔で生産!? しかもロシアに輸出されて人気上々ってマジか!! (2/2ページ)

207にしか見えないルックスへと206が大変身

 タイミングとしては、フランス本国ですでに206は207へとモデルチェンジを済ませていたころ。となると、イランの方々も「どうせなら新型がいいな」ということに。そこで、ホドロがアレンジを施したのがフロントフェイスの大幅なアップデート。平たくいえば「207の顔」に改造しちゃった、ということ。

 正面から見れば207と見紛うばかりで、しかも車名はちゃっかり207iを名乗るという確信犯(笑)。末尾にiをつけることで本家の207と差別化をしたつもりかもしれません。とはいえ、このなんちゃって207はホドロが最初ではなく、2006年にブラジルのプジョーが「207の製造・輸入をしないかわりに」206+というアップデート版を作ったことがきっかけです。いずれにしろ、206にほど近いお値段で207が手に入るなら、と両国では大好評だったとか。

 なお、エンジンはオリジナル206で使われた4気筒1.6リッターを使用していますが、最高出力だけはフランス仕様の108馬力から105馬力までダウン。産油国なのにガソリンの質に自信がないのかと勘繰りましたが、これはイランから輸出もするためで、周辺各国の事情も汲んだ措置かと思われます。

 さらに、207iはプジョー製のATからアイシン製4速ATへと変更されているのもポイント。プジョーの品質に不満があったのか、あるいはアイシンから仕入れるほうが安かった、といった理由があるはず。

 前述のとおり、ホドロ207iはイランから輸出もされており、なんとロシアが最大の輸出先だそうです。ちなみに、ロシアでのライバルと思われる国産のラーダ・ヴェスタが55万ルーブル(約101万円)ほどするのに対し、207iは(ロシア独特の?)ディーラー値引きを含めると99万ルーブル(約180万円)と、その差は小さくありませんが、ABSやエアバッグといった安全装備の充実に加え、やっぱり輸入車ということで売れ行きは上々なんだとか。

 じつは、プジョー206は現役当時からお役御免になったあとも、前述のブラジルをはじめアルゼンチンやチリ、果ては中国といった国々でもノックダウン生産されたという大人気モデル。

 エブリイといい206といい、本国でお役御免となったあとでもしぶとく走りつづけているというニュースは、日本人にとってもったいない精神を呼び起こしてくれるもの。なんだか、フルモデルチェンジした新車を喜ぶのに後ろめたい気分すら、といったら言葉が過ぎるでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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