後ろ向きに跳ね上がる「バンザイドア」がアイコン! かの奥山清行が送り出した「kode57」は日本の誇りだった (2/2ページ)

見た目だけでなく走りも一級品

 その彼がkode57で求めたもの。それは車名の57という数字に隠されていた。世界でモータースポーツが大きな盛り上がりを見せていた1957年、魅力的なスポーツカー、レーシングカーが数多く誕生したこの年へのオマージュを表現するモデルとして、奥山氏は1957年式のフェラーリ250TRを現代によみがえらせようと、kode57のデザインを始めたのだ。

 KEN OKUYAMA DESIGNが持つ統一したコンセプトは、「モダン・シンプル・タイムレス」。強いエッジが印象的な、あたかもひとつの固体から削り出された彫刻であるかのような美しさを持つkode57のボディは、もちろん最新のエアロダイナミクスを実現した、きわめて高性能なもの。

 同時にフロントフェンダーなどのディテールには、フェラーリ250TRの造形が現代的に解釈されている。左右のシザースドアは後ろ向きに開くデザイン。モータースポーツ・ギャザリングでのプレゼンテーション中に、それはユーモラスに「バンザイドアと呼ぶのだ」と、奥山氏自身から発表があったことも、まだ記憶に新しい。

 全長×全幅×全高で4650×2080×1175mm、ホイールベースは2750mmというサイズが設定されたkode57、改めkode57 enjiに使用されるボディは、もちろん軽量かつ強靭なカーボンファイバー製のハンドメイドだ。フロントに搭載されるエンジンは、6リッターのV型12気筒で、最高出力はスタンダードな設定では620馬力、最大トルクは608Nmを発揮。

 また、高性能版のECUを使用することで、その数字は702馬力、641Nmにまで高めることができる。これに組み合わされるミッションは6速DCTで、シームレスで刺激的な加速を楽しむことができる。

 インテリアも基調色はボディと巧みに調和するレッドだが、ドライバーズコクピットの周囲のみはブラックで差別化。これはドライバーを運転に集中させ、かつ走りの楽しさをより強く印象づけるには最高の演出だ。

 日本人デザイナーが日本から発信するkode57 engi。それはまさに日本の誇りともいえるスポーツカーにほかならない。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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