この記事をまとめると
■ル・マンで活躍した924を発端とするレアモデル「924カレラGTR」が存在する
■375馬力の直4ターボや935譲りのブレーキで高性能を実現
■全世界で17台のみが製作され日本には2台が輸入された
ル・マン生まれの激辛レーシングモデル
1980年のル・マン24時間レース。そのGTPクラスでとくに話題を集めていた一台が、ポルシェによって3台がエントリーされた「924プロトタイプ」だった。
1970年代後半から、次世代を担うレーシングウェポンとして、水冷式の2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する924ターボの存在に着目していたポルシェ。924シリーズのさらなる成功のためには、スポーツカーにとっては最高の宣伝材料ともいえるモータースポーツでの戦績が必要不可欠と考えられたことも、924ターボをベースとしたレースマシンをル・マン24時間レースに投じた大きな理由だった。
最終的にこのレースでは総合で6位、GTPクラスでは3位という好成績を残した924プロトタイプ。ポルシェは次なるステップとして、連続した12か月間に400台の生産を必要とするグループ4へのホモロゲートを狙う。そのために、同じ1980年に誕生したのが「924カレラGT」であり、さらに翌1981年には搭載される1983ccの直列4気筒ターボエンジンのスペックをGTの210馬力から245馬力に強化した「924GTS」も限定生産された。
レストアされたポルシェ924GTのルマンカー画像はこちら
ここで紹介する「924カレラGTR」は、924カレラGTをベースに、より高度なチューニングを施し、カスタマーチーム向けに提供された、まさに真のレーシングモデルだ。それだけに、この924カレラGTRのエンジニアリングには、さまざまな見どころがある。
ポルシェ924カレラGTRのフロントスタイリング画像はこちら
まずはそのボディワークから見ていくことにしよう。パートによって、アルミニウム、ファイバーグラス、ウレタンなどの素材を使いわけ、結果的に920kgという車重を実現する大きな原動力となった924カレラGTRのボディ。
ポルシェ924カレラGTRのテールエンド画像はこちら
ワイドな前後フェンダーのデザインや、フロントビューから確認できる、それぞれに確かな機能をもったエアインテークの数々は、そのパフォーマンスを想像させるには十分すぎるほどのディテール。前後の16インチ径BBS製センターロック式3ピースホイールにも、ブレーキにフレッシュなエアを導入する役割が与えられている。
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