市販モデルは世界でたった15台! ル・マンから生まれた「ポルシェ924カレラGTR」の衝撃的な中身 (2/2ページ)

高価だがそれに見合うパフォーマンスを実現

 フロントに搭載されるエンジンは、もちろん水冷直列4気筒ターボ。排気量の1983ccは924カレラGTから変化はないが、チューニングはさらに進められ、最高出力はじつに375馬力を発揮するに至っている。これに組み合わせられるミッションは、こちらもアップグレードされた5速MT。100%のロック率が設定されたLSDも採用され、コーナリング時のトラクション性能を大きく高めている。

 シャシーへのこだわりも、さすがはポルシェ渾身の作だけのことはある。前後のディスクブレーキは、あの935から受け継がれたもので、強力なストッピングパワーを発揮。サスペンションはチタン製のスプリングを備えるフルアジャスタブルタイプとなるが、この924カレラGTRを手に入れたカスタマーチームは、エンジンやサスペンションをはじめ、ほとんどそのセッティングに再度手を加えなくとも十分な戦闘力を得ることができたという。

 キャビンに張り巡らされたアルミニウム製のロールケージやバケットシートなど、いわゆるレーシングエクイップメントに関してもそれは同様。ちなみに924カレラGTRには発売時に約5000万円のプライスタグが掲げられていたが、そのコストパフォーマンスは絶大なものであった。

 実際に製作された924カレラGTRは、2台のプロトタイプと15台のプロダクションモデルで合計17台。日本にもそのうちの2台が上陸を果たしているが、両車ともにレースへのエントリーは確認されていない。

 ちなみに、2025年1月にアメリカのアリゾナ州で開催されたRMサザビーズ社のスコッツデールオークションでは、このかつて日本にあった924カレラGTRのうちの1台、鮮やかなレッドのボディカラーをまとったモデルが姿を現している。

 最高速で288km/hを誇ったという924カレラGTR。それはポルシェのレーシングヒストリーを語るうえでも、欠かすことのできないモデルといえるのだ。


この記事の画像ギャラリー

山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報