軽自動車は薄利でなかなか儲からない
軽自動車は薄利多売が最大の使命。台当たり利益が少ないだけではなく、納車後にディーラーで点検・整備や車検を受けずに街のガソリンスタンドや整備工場で受けようとするひとが目立つ傾向にある。つまり、メーカー系正規ディーラーで販売しても売り切りとなってしまうことが多いのである。新車販売で得られる利益などは、ディーラー全体から見ればほんのわずかだ。アフターメンテナンスも部材費や人件費の高騰で薄利になりつつあるとされているが、売り切りになるよりはマシなのはいうまでもない。
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また、一定サイズ以上の登録車を販売すれば、セカンドカーやサードカーとしてコンパクトカーや軽自動車を一度販売した既納ユーザーから新たな追加受注のようなものも期待できるが、軽自動車ではそれはなかなか期待できない。
トヨタ系ではダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)車や、ダイハツ軽自動車の委託販売契約を結びダイハツ軽自動車の販売(ダイハツディーラーへの紹介や自社でいったんナンバープレートをつけて中古車として販売など、その手法はいくつかあるようだ)ということで、あくまで登録車の販売に集中できる環境を作っており、それが今日のトヨタ一強の原動力となっている。
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そのトヨタは、トップ10内に総合ランキングで4車、登録車のみのランキングで8車がランクインしており、文字どおりトヨタ一強を統計で具現化している。しかも、登録車のみのランキングを見ていれば、トップ20圏内にアルファード、ハリアー、クラウンシリーズ、ランドクルーザーシリーズといった高収益車種が相次いでランクインしている。
軽自動車は、届け出済み未使用中古車の流通台数も多く人気が高いが、そのような展示場で軽自動車を購入するひとは、メーカーにはこだわらないだけではなく車名すらこだわらないケースも多いようだ。筆者も実際に見たことがあるが、展示してある車両のなかで好みのボディカラーや、外観だけで「あれがいい」、「これもいいよね」としながら選んで、用意した札束(キャッシュ)で即決していた。もちろん、メーカーや車種にこだわって選ぶひともいるだろうが、登録車に比べると売りやすいので、新車販売のセールスマンも軽自動車販売に走りやすくなってしまうのである。
ダイハツやスズキは正規ディーラーでの販売よりも、契約を結んでいる業販店での軽自動車の販売比率が高いとされている。
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ホンダだけではなく、日産ではメーカー系ディーラーがほぼ丸抱えで軽自動車販売を行っており、この点ではディーラー(セールスマン)の体力をより消耗させてしまっているように見える。
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全軽自協と自販連統計を参考にすると、2025暦年締めでのホンダの上半期累計販売台数は31万9707台となり、このなかでの軽自動車販売比率は約43%、そのなかでのN-BOX販売比率は約74%となっている。統計数字を分析しても、現状ではホンダ系ディーラーでは軽自動車というかN-BOXへの依存度の高さが顕著となっている。
2025暦年締め上半期車名(通称名)別新車販売ランキングベスト30
ホンダN-BOX 10万3435台
トヨタ・ヤリス 8万6942台
スズキ・スペーシア 8万4322台
トヨタ・カローラ 7万5019台
ダイハツ・タント 6万5362台
トヨタ・シエンタ 5万6882台
ダイハツ・ムーヴ 5万0864台
ホンダ・フリード 4万9094台
トヨタ・ライズ 4万8269台
スズキ・ハスラー 4万7197台
トヨタ・ルーミー 4万4889台
トヨタ・アルファード 4万4735台
日産ノート 4万3308台
トヨタ・アクア 4万1954台
トヨタ・プリウス 4万1508台
トヨタ・ノア 4万698台
トヨタ・ヴォクシー 3万9565台
日産セレナ 3万8921台
スズキ・ワゴンR 3万8450台
日産ルークス 3万6899台
ホンダ・ヴェゼル 3万1782台
トヨタ・ハリアー 3万457台
スズキ・アルト 3万389台
ダイハツ・ミラ 2万9339台
スズキ・ソリオ 2万9121台
三菱デリカミニ/eKシリーズ 2万8950台
トヨタ・クラウン 2万8881台
ホンダ・ステップワゴン 2万8850台
ダイハツ・タフト 2万7835台
スズキ・ジムニー(軽自動車) 2万6984台