本気で「実用性」が感じられるでん吉の性能!
一方、“国沢号”はどうか? ボクは氏のアイディア、ひらめき(同じか)を具現化する実行力に敬服する。陸・海、(空はまだだが)こんなことができないか、できると楽しいと思うことに挑戦する。そこに仕事仲間や友人らが集まり楽しく遊ぶ時間を共有する。そうしたオトナの遊びができるのも才能だと思う。
太陽光発電をクルマに取り入れようと思ったのも、電気をどうやって蓄えるかと考えたときに太陽光パネルを活用する技術に目が行った。過去にあったTV番組からのヒントだが、太陽光パネルがビル建物、自宅、空き地に設置が流行った時期があった。

当時は、たとえばN-VAN e: のルーフいっぱいを埋める太陽光パネルは数百万円した。しかし時代はアレよという間に進み、中国製の太陽光パネルの品質は上がり、同じ面積でも価格は数万円にまで下がった。

自然の恵み、太陽光を使えば”火力だ化石だ”何だと環境問題から切り離せ、カーボンニュートラルに貢献しつつ電気が生み出せる。ルーフに載る太陽光パネルは、晴れはもちろん曇りでも年間平均で600kWhを発電する。それを直接クルマに入れられるシステムはないため、リヤに搭載するポータブルのリン酸鉄リチウムバッテリー(LFP)に蓄える。

600kWhとは、たとえばN-VAN e: が電費7km/kWhだとすると、4200km走行できる。汎用の太陽光パネルを使い、市販の蓄電池に溜めながらクルマに供給しながら走行する。もちろんBEVの課題である充電という作業が省かれる。という時代を先取りしているのが国沢カスタムN-VAN e: である。
その走行性能は、もちろん自動車メーカーではない個人の改造だから弊害もある。それは汎用の太陽光パネル単体重量が28kgと重いこと。本来は建物の屋根や土地に設置するためパネルを支持するフレームがある。パネルだけなら5kg程度というからほとんどフレームの重量だ。

ボクは3代目プリウスのときにルーフに太陽光パネルを埋め込んだオプションを選択した苦い経験がある。それは停車中でも自動で空調が入り室内温度を管理するための機能で、時代を先取りしている!! と勇んで選んだものの、ルーフに”10kg”は明らかに操縦性と乗り味を悪化させたことを後悔した。
それが国沢号は軽のルーフに”28kg”である!! 期待と不安で試乗すると……えっ!? 至って普通である。いえばロール量は増えているが、それが通常走行で悪さをしない事実に驚いた。軽のボディサイズながら床にバッテリーを敷き、車重???kgのBEVはいかに底重心であるか、という重量バランスの重要さを改めて知る。ルーフラックに直留めした太陽光パネルがフレームごと揺れた際に発するガタガタギシギシ音が気になるといえばそうだが、ゴムマウントすれば問題なし。

自家発電〜給電しながら走行できるBEVの先進性に、そんなことはどうでもよくて、ただただ時代が模型の世界のような広がりを見せている現実を実体験できたことが嬉しいし楽しかった。
ホンダの提案は冒頭に話してしまったが、電動バイクEM1 e:の試乗と同時に八丈島を半周する電費競技もあった。スイカヘルメットを被ったTV番組を思い出すが、電動バイクのよさはこの時期の”太陽光”、紫外線、赤外線の熱量に加えて、エンジン熱からの暑さでとくに走行風を受けない停車中が極めて不快な思いが解消される。

しかもアクセル捻るとモーター音のみのほぼ無音でゼロ加速からストレスのない軽快そのもののダッシュが利く。巡航中も加速も減速もしないアクセルの丁度いい位置を探り、電費と速さを両立しながらゴール。
電費のみを重視した走行に負けたが、電費とともに走行時間を計算式に加えるべきだ、と負け惜しみ。BEVバイクこそコースティングと回生が重要だと改めて思うEM1 e: の試乗も、我が家に電動バイクがあってもいいと、ホンダラクーンコンポ、ステップコンポのユーザーはそう思うのであった。
