中国で4位のBEVメーカ−「NETA」が破産! 過熱しすぎた中華BEVの乱売競争でタイでは地獄絵図を予想!! (2/2ページ)

中国メーカーのEVブームは終焉を迎えつつある

 ブームが去ると、日本メーカーが得意とするHEV(ハイブリッド車)に注目が集まり、BEV販売の低迷とは対照的にHEVの販売台数が急速に伸びることとなった(タイ全体の新車販売不振が目立つなかでのこと)。
このようななかでも、中国からは続々とBEVを引っ提げて新たな中国メーカー(BEVブランド)がタイ市場に参入してきていた。そして中国系メーカーBEV同士の潰しあいともいえる乱売合戦が顕在化するようになった。そのなか、多くの中国系メーカーではBEVだけではなくHEVや純ガソリンエンジン車までラインアップを広げるところも出てきた。

 このような乱売合戦にNETAも巻き込まれることとなったのだが、もともと利幅の狭いローコストBEV1本で勝負してきたNETAは、NETA-Vの人気も落ち着いてしまったこともあり、タイでもより苦しい立場に追い込まれていったようである。

 2025年春に開催されたバンコクモーターショーにおけるNETAのプレスカンファレンスでは、タイ市場においても段階的に上級車種へ販売ボリュームを移行していく計画が説明されていたが、すでにあとの祭りのような状況だったようである。タイでも2025年の早いうちからNETAについてはいろいろと話が出ていたとは前出の事情通。「販売ネットワークの縮小や人員削減は結構前から行っていたようです」とのこと。タイ全土で60カ所あった販売ディーラーは40にまで減っている。

 現状、タイ国内で問題となっているもうひとつの事案が、交換部品の供給が滞っていることだ。タイの現地子会社は本稿執筆段階では破産申請はしておらず、事業継続する旨を発表しているようだが、中国の親会社が経営破綻する以前より、交換部品の供給滞りが目立っており、なかには部品到着まで1年ほど待たされるといわれたユーザーもいたようだ。

 すでに本稿執筆段階では、タイ国内での車両生産も停止し、在庫車販売のみとなっていると地元メディアが報じている。さらに、地元メディアによると、NETA V-Ⅱの最終在庫車を27万4000バーツ(約122万円/正式車両価格は廉価モデルで54万9000バーツ[約245万円])で販売しているとも報じている。

 ちなみにNETAの現状については、中国本社にて海外進出積極派と消極派によるお家騒動もあったことも影響しているとの話もあるが……。

 なお、すでにバンコクでは、NETAに続くかのようにタイ市場から撤退を検討しているようだと、NETA以外の中国系ブランドの名が挙がり噂されているということであった。

 いままでは、中国以外における中国系メーカー(メインはBEV)については、ラインアップの拡大や新たなブランドの進出といったトピックばかりであった。

 タイでもまだまだ新たなブランドが進出していたが、事情通のいうところの地獄絵図がどう描かれていくかを今後は注意深く見ていくことになる。しかし、今後は東南アジアに限らず随所で似たような話が出てくることになるかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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