うわっ、内装がベッタベタじゃん! 古いクルマあるあるの「内装ベタつき問題」の解決策とは?

この記事をまとめると

■内装がベトつく原因は加水分解などの経年劣化

■無水エタノールやIPAでの拭き取りが効果的な対処法

■NGな薬剤や完璧を求めすぎない姿勢も重要なポイント

不快なベトベトは取り除ける?

 長年乗り続けてきた愛車や、中古車として手に入れた一部のクルマで避けて通れないのが「内装ベトベト」問題。しかも、手に触れる箇所に限ってベトベトしているから非常にやっかいです。これ、どうにかならないものでしょうか。

■この瞬間も経年劣化は進行している

 ダッシュボードをはじめとして、パワーウインドウなどのスイッチ類、車種によってはドアノブなど、手に触れるところがやたらベトベトする。これはおかしいと思ってウエスで拭いてみると「ベトベト」の部分は取り除けるけれど、完全に除去するには手間がかかりすぎる。

 これは「加水分解」と呼ばれる経年劣化の一種です。「加水分解」とは、空気中の水分や熱、紫外線などの影響によってゴムなどの素材が化学的に分解されてしまう現象です。一気に進むというよりはジワジワと進行していくので、気づいたときにはそれなりに劣化していることが多いのです。

■内装がベトベトする理由とは?

 クルマの車内は夏場、とくに炎天下であれば70度以上になることもあります。さらに閉めきりで湿度も高くなりやすいため、クルマの内装の部品や車内に置かれているものにとっても非常に過酷な環境といえます。ダッシュボードやステアリングなど、直射日光が当たりやすい部分はとくに劣化が早く、紫外線により分子構造が崩れ、ベタつきだけでなくヒビ割れが起こることもあります。

■ベトベトの対策方法とは?

 応急処置として、中性洗剤+ぬるま湯で拭き取ったり、無水エタノールやIPA(イソプロピルアルコール)で拭くとベタつきが取れることがあります。いずれも、ドラッグストアをはじめ、ネット通販などでも購入することができます。布やキッチンペーパーにエタノールを適量しみこませ、ベトベトした部分を軽くこすると、ベタつきが溶けて拭き取れるのです。手間ではありますが、汚れたらすぐに布を替えるのがポイントです。

 また、素材によっては色落ちや、スイッチ表面の印刷落ちに要注意です。さらに、スイッチ類の隙間やエアコン吹き出し口といった細かい部分は綿棒や古い歯ブラシにエタノールをつけて力を入れずにこするようにしてください。ダメージが気になる場合は、目立たないところで試し拭きしてから作業してみてください。また、予防としては除湿剤の設置もおすすめです。

■内装ベトベト落としに使ってはいけないNGアイテムとは?

 無水エタノールやIPAは手もとにはないし、取り寄せるのも面倒。ほかのもので代用してしまおうとすると逆効果になってしまうケースもあります。

 たとえば、シンナーやラッカーのうすめ液は、強力すぎて素材を痛める可能性が高いのでNGです。また、除光液の主な成分でもあるアセトンも、樹脂や塗装を溶かしてしまう可能性があるのでこちらもNG。クレンザー系の液体には研磨成分が含まれているため、ベタベタを取り除く前に内装に傷をつけてしまうので、これもNGです。

■まとめ:ある程度の妥協は必要かも

 エタノールで取れない場合、塗膜を完全に剥離して再塗装やラッピングする選択肢もあります。ベトベトをきれいに除去し、再塗装してくれる業者も存在しますが、それなりの費用(数万円〜)の出費がかかるため、完璧さを求めたい人でなければDIYで済ませた方が安上がりです。ただし、そこは素人作業なので、ある程度の妥協が必要であることをお忘れなく。


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松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
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