この記事をまとめると
■エンジンチューンの定番に「ボアアップ」「バランス取り」「スポット増し」などがある
■ボアアップはシリンダー内径を広げることでバランス取りは各部品の重量を揃えること
■スポット増しはスポット溶接箇所を増やしてボディの剛性をあげること
メカチューンの定番といえば……
いまさら聞けないチューニングにまつわる定番ワードを解説。今回は「ボアアップ」「バランス取り」「スポット増し」。
ボアアップ
エンジンの燃焼室は円形のピストンが上下している。その上下する空間の大きさが排気量で、ここに混合気を入れてプラグで火花を付けて爆発させ、クルマは走っている。このピストンの直径のことをボアと呼び、ピストンが上下する長さのことをストロークと呼ぶ。
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ボアとストロークと気筒数から排気量が決まる。そして、もっともパワーアップ、トルクアップに繋がるのが排気量のアップである。排気量を大きくしてたくさん空気を入れて、たくさんガソリンを吹けば、単純に爆発が強くなるのである。
そこで排気量を上げる方法のひとつがボアアップである。これはシリンダーの穴をボーリングして、つまりドリルのようなもので大きく広げてしまう。そこに直径の大きなピストンを入れる。するとボアが広がり、排気量をアップすることができるのだ。
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問題点としてはシリンダーをボーリングするということは、隣のシリンダーとの壁が薄くなるので、その限界があること。車種によってはボーリングができないことも多い。ボーリングできてもやりすぎるとシリンダーにクラックが入ってしまうこともある。つまりエンジンが壊れてしまうこともある。
そのためすべてのクルマでできるわけではない。とくに最近のクルマはシリンダーブロック自体がアルミ製。その上、隣のシリンダーとの距離に余裕がなくボーリングできないこともある。ひと昔前のエンジンだと鋳鉄ブロックで強度も十分あり、ボーリングできることも多かったのだ。
ボアアップできない場合はストロークアップして排気量を増やす手もあるが、こちらはクランクシャフト自体を交換する必要がある。それ自体を作らねばならないのでコストが高くなる傾向にある。