そうだ、バスみたいにミニバンも「2階建」にすれば沢山乗れるじゃん! 突飛にみえるアイディアだがなんと法規的にはイケる可能性あり (2/2ページ)

自度運転が現実のものになれば可能?

 そもそも、乗車定員14名であれば、すでに多く走っているハイエース・コミューターが実現しているわけだから、わざわざ2階建てのミニバンを開発する必要性があるとも思えない。

 さらにいえば、定員7名のミニバンをベースに2階建てにしたとしても、定員が2倍になることはないだろう。道路運送車両法が定める2階建てバスの構造要件には、階段の条件として『踏段の有効幅は、600mm以上であること』と定められている。

 600mmというのは座席ひとつ分の幅に相当する。階段を設けることにより1階と2階それぞれでシートひとつぶんのスペースが使われるわけだ。定員7名のミニバンをそのまま上に伸ばしたとしても、「7名×2階-階段スペース(2人分)=乗車定員12名」となってしまう。

 これを逆手にとって乗車定員を10名以下に抑えることで“普通免許で運転できる2階建てミニバン”という商品企画もあり得るかもしれないが、前述した最大安定傾斜角度や、乗用車に期待される走行安定性などを考えると、非現実的なアイディアといえるのではないだろうか。

 なお、キャンピングカーでよく見かけるポップアップルーフは、駐車しているときは2階にベッドスペースを生み出すもの。広義の2階建てボディといえるが、走行中に展開して、そこに人が乗ることはNGであることも留意しておきたい。

 というわけで、現時点で2階建てミニバンが生まれることは考えづらいのだが、完全自動運転が実現した社会においては、あり得る話かもしれない。2階建ての乗用車にするメリットは「自動車の専有面積を維持したまま乗車人数を増やす」ことにある。つまり、2階建てのクルマであれば、駐車スペースをそのままで運べる人数が増えることになる。これは自動運転モビリティが普及した社会においてはメリットとなる可能性もある。

 はたして、未来のモビリティとして2階建てミニバンは登場するのだろうか。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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