今までのスズキがやってこなかったことに挑戦
●広がりに加え、抜きや透きを意識したインテリア
──では次にインテリアについて。まず、翼状の広がりのある造形が目に入りますね
「はい。デザインテーマの『Hi-tech & Adventure』表現として、ジムニーに似た力強い断面を左右ドアトリムまで通し、2階建ての抜けのよいハイコンソールと組み合わせて、BEVかつ本格SUVに相応しい新時代のT字型インパネとしました。そこに特徴的な四連ベンチレーションを融合させ、スズキらしいアイコニックなインテリアを目指しています」
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──なぜ金属調のパーツを多用したのでしょう? またブラウンの素材も目立ちます
「ベンチレーションまわりの加飾ですね。コチラもあえての『逆張り』で(笑)、トレンドとしてはベンチレーションの存在感を消す方向にありますが、インド市場も見据えたSUVとしての機能性を感じさせようと。またブラウンについては、従来のモノクロ×シルバーでは、どうしてもガジェット感が出てしまうため、洗練されたEV×SUVらしさの演出に、いままでスズキでは選んでこなかった色をチョイスしています」
──実際に座ってみると、ドアの内張りの「深さ感」に驚きます
「そこはこだわったところです。実際それほど深さはなく、柄造形と呼ぶ表面処理を加えることで実寸法よりも奥行きを感じさせています。また今回、ベンチマークするなかでEVのインテリアトレンドを『抜き・透き・浮き』という日本語で捉え直しました。運転席から前方へ抜けのよい空間としたり、隙を設けてアンビエント照明が効果的に反射したり、浮遊感やクラスを越えた拡がりを感じさせることができると考えました」
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──ボディカラーですが、今回テーマカラーとした「ランドブリーズグリーンパールメタリック」では何を意図しましたか?
「アドベンチャーというと、近年はアウトドアをイメージしたアースカラーが人気ですが、単に優しい色ではなく、ゴリゴリの金属感、鉄板を感じさせる硬質感を狙いました。色調としてはベージュやブラウンも検討しましたが、ここはトレンドを意識してグリーンを選びました」
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──では、最後に。新型は従来のスズキ車とは異なるデザインテイストをもたせましたが、今後のデザイン開発に影響はありそうですか?
「はい。自分たちとしてもここまでできたという達成感が大きかったですね。スズキは軽自動車がメインですから、軽規格のなかでの考え方を変えるのは意外に難しいんです(笑)。ただ、まだ具体的なキーワードこそ見えていませんが、eビターラのエッセンスを生かしたシナリオはできています」
──面の大きいカタマリ感のあるスタイリングはユニークです。今後、軽も含めた展開に期待しています。