この記事をまとめると
■自販連と全軽自協から2025年7月単月締めでの販売台数が発表された
■ここのところ前年同期比ではいずれも微減となり横ばい状況が続いている
■新型ムーヴが登場したダイハツだが新型車特需効果というものが数字から感じられない
政治・経済・世界情勢に不安があると新車販売は上向かない
例年新車販売での夏商戦の締め月となる7月の新車販売台数統計が発表された。登録車については自販連(日本自動車販売協会連合会)発表による2025年7月単月締めでの登録乗用車の販売台数は22万544台(前年同期比96.0%)、軽自動車については全軽自協統計による軽四輪乗用車の販売台数は10万5782台(前年同期比97.0%)とそれぞれ発表されている。
前年同期比ではいずれも微減となり横ばい状況がここのところ続いている。政治、経済、世界情勢、ありとあらゆるところで不安要素が目立っているなかでは、新車販売が飛躍的に上向きを見せるわけもない。また、需給状況は一時に比べれば改善傾向にあるのだが、受注状況に関係なく、ほぼ安定した供給体制が取られていることも、新車販売が前年同期比で横ばい状況が続く要因となっているのではないか。つまり、かなり厳密な生産管理のなか、日々生産され出荷されているともいえるかもしれない。販売現場に人気モデルの在庫が多く置かれていたというのは、遠い日の思い出になろうとしているようである。
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新車販売統計は当該月の新規登録(軽自動車は届け出)台数となるので、統計をとること自体難しいとも思えるのだが、受注台数ベースで新車販売の動きを見ていくというのも、よりリアルな新車販売現場を知るためには必要かもしれない。
軽自動車では軽四輪車総台数、軽四輪乗用車ともにスズキがトップとなっている。6月に新型ムーヴが登場したダイハツだが、軽四輪乗用車ではトップのスズキに1万台以上差をつけられて2位、そして3位ホンダとの差は7000台弱と新型車特需効果というものが数字から感じられない。軽四輪乗用車では前年同月比102.1%となっているダイハツだが、前月比では82.6%と元気のなさが目立っている(スズキは前月比100.8%)。
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6月は暦年締め上半期末であり、四半期決算月でもあるので新車販売が盛り上がりを見せるとはいうものの、ダイハツには基幹車種であり新型となったばかりのムーヴがあるので、これを軸にして、タントやムーヴキャンバスなどへの販売に勢いがついてもいいのに、どうも相乗効果も不発に終わっているようである。
現状では、諸物価高騰を反映させた車両価格の値上げや、政策金利などによるローン金利の上昇不安、そしてまだまだ不安定な納期も続いているので、値引きなどの特典が期待できる増販セール期間まで待って新車を購入するというのも、必ずしも得するとはいいがたい。待っているうちに車両価格の値上げや金利上昇が起きれば待った甲斐もないというもの。
販売現場もとにかく取れるもの(新規受注)は目の前からドンドン取っていくという姿勢が目立っているので、とりあえず思わせぶりな態度で値引きアップを引き出そうといった時間のかかる商談スタイルでは、残念ながらあまり相手にされないともいえよう。
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新型車が出れば人寄せパンダ効果で店頭来店客が増え、販売促進活動も活発になるとはいわれているが、「新車が出たのか、それじゃ見に行こう」という気もちにさせるには、可能な限り社会不安を取り除き、明るい将来設計が描けるような環境整備が前提となるのだが、残念ながらいまの日本ではそのような環境整備が十分できているとはいえないので、新車販売の際立った上積みが難しく、前年並みとか横ばいといった状況になってしまっているようである。