この記事をまとめると
■シボレーは2003年にリトラクタブルハードトップのピックアップトラック「SSR」を発売
■2005年からはコルベットと同じ6リッターのV8エンジンを採用した
■シボレーSSRのはその個性が強すぎたのかわずか4年間で終売となってしまった
レトロなスタイルに騙されるシボレーSSRのハチャメチャっぷり
パっと見がのび太くんで、中身はバキバキのグラップラーというのがシボレーSSRというクルマ。1940年代のトラックをオマージュしたスタイルに加え、ルーフトップが開いてオープンカー感覚まで味わいつつ、6リッターのマッスルエンジンを搭載という支離滅裂ぶり。とはいえ、SSR(Super Sports Roadster)は自由の国アメリカ生まれ。このハチャメチャぶりが最大の魅力に違いありません。
シボレーSSRのフロントスタイリング画像はこちら
シボレーSSRは2000年にコンセプトモデルとして発表されていますが、スタイリングなどほとんど市販車と同じ状態でした。つまり、GMはSSRを売る気満々だったのでしょう。2000年代初頭はGMのみならず、ビッグ3がとにかくはっちゃけていたタイミングで、SSR以外にも楽し気でイカれてるようなクルマが目白押しです。
そして2003年にSSRコンセプトは、アメ車にとって最高級の栄誉となるインディ500のペースカーに選ばれました。これ、販売にあたっては決定打ともいえるもので、全米のクルママニアがSSRの雄姿に見惚れ、翌日からはディーラーの電話が鳴りやまない現象を引き起こしたとされています。
インディ500のペースカーに選ばれたことを記念したシボレーSSRの限定モデル画像はこちら
ただし、その年から販売されたSSRはスタイルこそイケてましたが、プラットフォームはGMT360というトレイルブレーザーやビュイック・レイニアといったSUV向けで、搭載エンジンも5.3リッターのV8(Vortec)と、いうなれば「汎用品」を選んでしまったのです。しかも4速ATのみの設定とくれば「ばあちゃんでも乗れる」と揶揄されることしきり。
これではインディ500を見てほしくなったお客さんの熱を冷ましてしまうのも無理はありません。鳴り物入りで発売されたにもかかわらず、初代SSRはショールームのお飾りに成り下がったとのこと。これじゃまずいってんで、2005年にテコ入れ。コルベットやポンティアックGTOと同じユニット、6.0リッターのLT2エンジンを搭載。ようやくマッスルカー、スーパースポーツの仲間入りを果たした次第。
シボレーSSRのエンジン画像はこちら
およそ390馬力の最大出力を、6速MTで操れるということで販売は一気に上り調子に。ハイパワーなピックアップというのはエルカミーノやランチェロの例を出すまでもなくアメリカ人の大好物ですからね。しかも、フロント19インチ、リヤ20インチという当時としては最大級の足もとで、やんちゃな方々には大いにウケたのだそうです。
とはいえ、前述のとおりGMにはSSR以外にもさまざまな「イっちゃってる」モデルが控えており(インパラSSやシボレーHHRなど)新鮮味が薄れたと判断されたのか、2006年で生産終了。ただし、SSRの「見た目とパフォーマンスが食い違う」というノリは継承され、直後のGMがキレたラインアップとなったのはまぎれもなくSSRの影響に違いないでしょう。
シボレーSSRのリヤスタイリング画像はこちら
SSRのデビューから30年が近づいているいま、リバイバルとかなんとかいってピックアップ+オープントップ+マッスルエンジンってパッケージが出てもおかしくありません。今度こそ日本国内でも売ってほしいと願うイっちゃってる方は決して少なくないはずです。