この記事をまとめると
■クルマの販売の好不調はカテゴリーによって判断が異なる
■日本一売れているホンダN-BOXであるがその月間販売台数は先代・先々代よりも少ない
■CX-60やオデッセイやbZ4Xなどは月販目標を設定するがその実績は大きく食い違う
売れているか売れていないかの判断は各車両によって異なる
クルマの販売が好調か否かの判断は難しい。軽自動車のような人気のカテゴリーなら、販売台数は全般的に多く、薄利多売のカテゴリーだから販売が低調では成り立たない。逆に人気が低下したセダン/ワゴン/クーペでは、好調な売れ行きは見込めない。軽自動車で1カ月の平均販売台数が3000台では失敗に近いが、セダン/ワゴン/クーペなら成功だ。
従来型と比べたときの販売台数も好調か否かの基準になる。販売台数自体が多くても、前年に比べて低下している車種は好調といえない。たとえばホンダN-BOXは、先代型が2017年に発売されたあと、ほぼ一貫して国内の年間販売1位を保っている。先代N-BOXは、発売から2年後の2019年には1カ月平均で2万1125台を販売したが、現行型の2024年は1万7189台だ。N-BOXはいまでも国内販売の1位だが、先代型の2019年に比べると、その販売台数は81%に留まる。ただし、それでも現行型の月販目標とされる1万5000台を上まわっている。
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月販目標が少ないために、実際の受注台数がそれを超えることもある。この代表はジムニーノマドだ。2025年1月に発売されたときの月販目標は1200台だが、発売直後に約5万台を受注したから、慌てて1カ月当たり3300台に増産した。
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ちなみにジムニーシリーズは、ほかのモデルも発売時点の月販目標が少なく、納期が遅延して増産している。軽自動車のジムニーは、発売時点の年間販売目標が1万5000台(1カ月当たり1250台)だったが、2024年の1カ月平均は3451台だ。ジムニーシエラは年間販売目標が1200台(1カ月当たり100台)で、2024年の1カ月平均販売台数は、目標の21倍に達する2154台だった。いずれも月販目標が少なすぎた。
実際の売れ行きが販売目標を超える車種がある一方で、下まわることも多い。たとえばマツダCX-60は、2022年の発売時点で1カ月の販売目標を2000台に設定したが、ユーザーから乗り心地の硬さを指摘されるなどリコールが続いた影響で、2024年の1カ月平均販売台数は533台だった。発売後2年で販売目標の27%に留まった。その後に改良を実施して、2025年1〜7月は995台までもち直した。それでも販売目標の50%だ。
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ホンダ・オデッセイは、一度国内販売を終了したが、2023年12月に中国製の輸入で復活した。このときの月販目標は1000台だ。2013年に国内生産による現行型が登場したときの4000台に比べると25%に留まったが、それでも2024年1〜7月の月販平均は739台だからさらに少ない。
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電気自動車も全般的に低調だ。たとえばトヨタbZ4Xは、2022年にリースを開始したときは「初年度は(1年間に)5000台分の生産・販売を予定」としていたが、2025年の1カ月平均は30〜40台で、1年間でも500台以下に留まる。
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以上のように月販目標を設定しても、実際の売れ行きが食い違う車種は多い。そこで最近は、日産車のように月販目標を公表しない車種も増えている。