乗って驚いた高い走りの質感
そんな新型「ルークス」のなかから今回、最上級グレード「Gターボプロパイロット」の4WD車に、神奈川・追浜のテストコース「グランドライブ」で試乗する機会を得たのでリポートしたい。なお、試乗中はやや強めの風雨に見舞われており、路面コンディションはフルウエットだった。
最初はメインストレートへゆっくり進入し徐々に加速しはじめるが、まず驚かされたのは静粛性の高さ、そしてサスペンションのしなやかさだ。先代のデビュー直後は路面の凹凸を正直に拾い、車体が上下に跳ねて振動も多く、ドライバーでさえ車酔いしやすい乗り味だったことを思い出すと、まさに隔世の感がある。
新型日産ルークスの走り画像はこちら
バンク下やコース後半のアップダウンが激しい連続S字へ早めの速度で進入し、旋回中に大きなギャップに見舞われても、挙動が破綻する予兆すら見せず、ロールも粘り腰で、安定した姿勢を保っていた。
また、乗り心地も、高速道路の継ぎ目(が埋め込まれた路面)でこそリヤから強めの突き上げに見舞われるものの、それ以外は至って快適に過ごすことができる。これならば後席の同乗者も車酔いせずに済むだろう。
新型日産ルークスのコーナリング画像はこちら
しかしながら、パワートレインに関しては、必ずしも開発陣の主張どおりに進化しているとはいい切れない、というのが率直な印象。ハーフスロットル程度まではアクセル操作に対しリニアに加速しエンジン回転も上昇していくものの、それ以上アクセルペダルを踏み込んで全開加速を試みても、上昇するエンジン回転に対して速度の上がり幅は少なくなる。とくに100km/h近い領域になると、風がやや強く、テスト車両が4WD車だったということもあり、走行抵抗がそれ以上の加速を明確に阻む傾向が見られた。
新型日産ルークスの加速画像はこちら
加速性能についてはさらなる進化の余地が残されているものの、それ以外の点では正式発表直前の現時点で、すでに高い完成度を備えている。ホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タント、さらには同グループの姉妹車である三菱eKスペース/デリカミニさえ、強力なライバルとして立ちはだかるものの、新型日産ルークスがそのなかで存在感を大きく増すのは間違いないだろう。