この記事をまとめると
■エアコンをオンにするとどうしてもエンジンパワーを喰われることになる
■イマドキのオートエアコンのクルマには加速カット制御が入っている
■いまやレースで戦うようなレーシングカーでもエアコンを入れて走る
いまのクルマも加速時はエアコンを切るべき?
酷暑が続く日本の夏。35度以上の猛暑日ともなると、エアコンがよく利くか利かないかが、クルマにとってもっとも重要な性能にすら思えてくる。
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そのエアコン、クランクシャフトのプーリーからVベルトを介してコンプレッサーをまわす仕組みなので、どうしてもエアコンをオンにすると少々パワーを喰われることになる。馬力にすると5~10馬力のパワーロスだ。
64馬力の軽自動車なら、このロスは体感できるほど大きいし、かつてのテンロククラスのスポーツカー、AE86(130馬力 グロス)やロードスターのB6エンジン(125馬力)でも、エアコンを入れると加速が鈍るので、加速時はエアコンをオフにする、といった乗り方をしていたユーザーも珍しくなかった。
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最近では、ハイブリッド車やEVを中心に、電動コンプレッサーを使ったエアコンも増えてきているが、エンジンのパワーでコンプレッサーを動かしている車種は、いまのクルマでも加速時はエアコンを切るべきなのだろうか?
結論をいうと、オートエアコンのクルマなら、加速カット制御が入っているクルマが多いので、手動でエアコンをオン/オフすることは不要。加速カット制御とは、加速時や登り坂など、エンジンへの負担が増えるシーンで、エアコンのコンプレッサーの作動を一時的に停止させる機能のこと。手動で切り替えを行わなくても、加速カット制御が自動的に同じことをやってくれるので、加速時や登坂時のパワーロス対策はクルマにお任せでOK。
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また、昔は高回転までエンジンをまわすと、コンプレッサーにも負担がかかり、エアコンの寿命が縮む……と心配していた人もいるが、そもそもいまのオートエアコンは、状況に応じて断続的にコンプレッサーがオンになったりオフになったりしているので、これまた心配不要だ。
そんな心配をするぐらいなら、エアコンを夏だけではなく、通年使用することのほうが大事だ。というのも、コンプレッサーの潤滑用オイルは冷媒ガスと一緒に循環する仕組みになっているので、エアコンを長期間使わないとコンプレッサー内もオイル切れになりやすい。同時にこのオイルは冷媒ガス経路のシールドゴムの密閉度を高める働きもしているので、エアコンを動かし、冷媒ガス&潤滑オイルを流さないと、ガス漏れが早く起きる可能性もあるからだ。
いまやニュルブルクリンク24時間レースで戦うようなレーシングカー(ツーリングカー)でもエアコンを入れて走るクルマが珍しくない時代なので、暑いときはエンジンの負担の心配などはせず、エアコンを使い続けて快適なドライブ環境をキープするようにしよう。