この記事をまとめると
■スイスに拠点を置く「スバッロ」というスペシャルカーメーカーが存在する
■ジュネーブショーには50年近く皆勤賞で出品しており膨大な作品数を誇る
■現在は息子のファビアンに加えてテクニカルスクールの学生とのコラボを進めている
スバッロがクルマ作りをするようになったキッカケと作品の数々
いまもスイスに拠点を置くスバッロというスペシャルカーメーカーは、元祖ビックリドッキリメカの作り手にほかならない。エンジンスワップや合理性の高いメカチューンなどは朝飯前であることに加え、奇想天外なスタイリングをもつ彼の作品は、単なるカスタムファクトリーに収まる存在ではないだろう。イタリア系スイス人である、本名フランチェスコ・ゼフェリーノ・スバッロの偉業を振り返ってみる。
フランチェスコ・ゼフェリーノ・スバッロ氏画像はこちら
ざっくり生い立ちをみると、1939年イタリアで生まれ、レッチェの工業学校を卒業後にスイスへと移住。小さなガレージを借りて整備工としてキャリアをスタートしており、すぐさまドイツにかつてあったボルグヴァルドの特装車の製作を委託された。この仕事に目を付けたのがほかでもない、スイスのレーシングチームであるスクーデリア・フィリピネッティを率いていたジョルジュ・フィリピネッティその人なのだ。
スバッロはチーフメカとして、フェラーリP3やACコブラ、はたまたフォードGT40といったマシンに触れただけでなく、勝利へと導いたという。そして、1968年に独立すると「ACA(アトリエ・デ・コンストラクション・オートモービル)」という自身のファクトリー(アトリエ)を創立、スバッロの名を冠したモデルが次々と誕生していくことになった。
フランチェスコ・ゼフェリーノ・スバッロ氏画像はこちら
当初はフィリピネッティつながりなのか、各国の王侯貴族からの注文による名車のレプリカ作りが主な仕事。本物はもってるけど、普段使いには心もとない。信頼性が高くて品質のいいレプリカがほしいというオーダーだろう。とりわけ有名なモデルがBMW328をコピーした「スバッロ328」や「ブガッティ・ロワイヤル」で、いずれも本物以上のクオリティだと大評判になった。
「スバッロ328」のフロントスタイリング画像はこちら
なにしろジュネーブショーには50年近く皆勤賞で出品しているため、作品数は膨大なもの。スバッロの名声もあってか、いずれのモデルも顧客やスポンサーがつくため、ビックリドッキリメカといえどもワンオフで終わらないことのほうが多いくらい。
たとえば、ベルトーネの向こうを張るウェッジシェイプながら、コンフォート性能を犠牲にしなかったといわれる「チャレンジ」はこのスタイルで8台が納車されている。
「チャレンジ」のサイドスタイリング画像はこちら
実用性といえば、かなりスバッロはこだわっているようで、前述の「ローラT70レプリカ」のリヤに引き出しタイプの荷室を追加している。そのあと、「フェラーリ550マラネロ」のスパイダーを作った際も同様のアイディアでゴルフバッグが運べると豪語。真摯にカスタムと向かい合うスバッロらしさ満点だ。
「ローラT70レプリカ」のリヤスタイリング画像はこちら