どう見ても「おふざけ魔改造」なのに中身は「ホンモノ」! スバッロが手がける「クソまじめ」な奇想天外カー (2/2ページ)

ハブもスポークもなく向こう側が見える衝撃のホイール

 もちろん、実用性だけでなく驚くようなアイディアも数多く発表している。

 たとえば、「オービタルホイール」と名付けられたハブレスホイールはバイクのスタディモデルとして発表され、ホイールの向こうが見えるというインパクトをもつ。一方で、インホイールエンジンを搭載したスタディをいくつも発表するなど、エンジニアリングも自由自在だ。

 そんな経験値から生まれたのか、なんとボーイング727のホイールをSUVに採用したことも。いまでこそ大径ホイールは珍しくないが、1987年当時としては誰もが驚きを隠せなかったに違いない。その名も「モンスターG」と名付けられたモデルは、メルセデス・ベンツのV8を6.4リッターまで拡大した全輪駆動車。リヤのスペースには折りたたみ式の小型バイクを収容するなど、いま見ても魅力的なSUVだ。

 そして、いまでいうレストモッドに近い作品もスバッロには散見できる。その筆頭といえば、1997年発表の「イオノス」で、スバッロ自身と彼が率いる学生たちの野心作。ランチア・ストラトスをオマージュして、ミッドにランチア製5気筒エンジンを2基連ねたV10を搭載。全長3.6m、ホイールベース2.27mという寸法さえストラトスのようだ。

 また、2025年の最新作となった「ESXレガシー」は、ご覧のとおりシェルビー・デイトナコブラへのオマージュ。フォード製5リッターV8エンジンをノーズに納め、サイドパイプやコーダトロンカといった特徴を見事なまでにアレンジしている。それでいて、車重は1100kg程度とされており、シャシー、パッケージングともに絶妙といわざるを得ない。

 現在は、息子さんのファビアン、そしてフランスに設立されたテクニカルスクールの学生たちとのコラボレーションを進めているスバッロだが、その奇想天外ぶりはいささかも衰えていない様子。これからもビックリドッキリ、そしてカッコいいモデルの登場に期待せずにはいられない。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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