欧州に負けじと作ったエキゾチックなトヨタ製ホットハッチ
トヨタ・ブレイドマスター
ゴルフやA3に対抗するモデルとして、トヨタが2007年8月に投入したのが、「ブレイドマスター」なるモデルだ。
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もともと直4・2.4リッターというハッチバック車としては大排気量なエンジンを搭載していたブレイドに、V6・3.5リッターエンジンを搭載したのがこのブレイドマスターで、ゴルフやA3よりも大排気量なエンジンで優位に立とうという気もちが見て取れた。しかし、フォルクスワーゲングループは、翌年に登場したゴルフ6からエンジンのダウンサイジングを進めており、V6モデルは消滅。トヨタの意気込みは肩透かしを食らうことになってしまったのだった。
アルファロメオ 147 GTA
本来は1.6~2.0リッタークラスのエンジンを搭載するアルファロメオ147に、上級モデルである156GTAに搭載されるV6・3.2リッターエンジンを搭載してしまったのが、「147GTA」というモデルだった。
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このV6エンジンは開発者の名前から「ブッソV6」という愛称でも知られる1970年代に開発されたものがベースとなっており、その官能的なサウンドはいまでも多くのユーザーを魅了し続けている。そんな名機を搭載する147GTAは、トレッドの拡大やエアロパーツの装着で外寸こそ通常モデルよりも拡大しているものの、クルマに興味がない人からすれば、ただのハッチバック車にしか見えないかもしれない。だが、クルマ好きからすれば隠しきれないオーラを感じ取ることができる1台だった。
ルノー ルーテシア(クリオ)ルノースポール V6
ルノーのコンパクトハッチバックであるクリオ、日本では商標の関係でルーテシアと呼ばれるモデルは、もっとも小排気量なモデルは1リッター以下のエンジンを搭載している。しかし、2代目をベースに仕立てられた「ルノースポールV6」は、単にV6エンジンを搭載しただけのモデルではなかった。
ルノー・ルーテシア(クリオ)「ルノースポール V6」のフロントスタイリング画像はこちら
ベースとなったルーテシアはいうまでもなくフロントにエンジンを搭載し、前輪を駆動するFFレイアウトだが、ルノースポールV6は、なんとリヤシートを取り払い、V6・3リッターエンジンをミッドシップに搭載。そして駆動は後輪と、ベース車とはまったく異なるものとなっていたのだ。その結果、エクステリアも大型のフェンダーが備わり、一目見て、ただものではないオーラをまとっていたが、もともとFFレイアウトとして設計された車両をベースにしていることもあり、その挙動はかなりピーキーなものとなっていた。
ということで、一見すると実用的なハッチバックなのに大排気量のV6エンジンを搭載するという、世間的にみると少々特殊なパッケージのクルマをここまで紹介してきた。しかし、現代のハッチバック市場では小排気量化だけでなく気筒数も減って3気筒エンジンが主流となっている。だからこそ今後は、ガソリンエンジン技術のさらなる進歩やEVの普及などによって、ドキドキさせてくれるような「アツいホットハッチ」の選択肢が、ふたたび我々の前に現れることを切に願うばかりだ。