軽自動車の販売ランキングは近年にない激戦! N-BOX・スペーシア・ムーヴのトップ争いの行方 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2025年8月度の新車販売ランキンが発表された

■登録車においては大部分をトヨタ車が占めた

■これからの時期は年間の販売台数を稼ぐための販売活動が本格化してくる

8月度の新車販売ランキングが発表された

 8月は全国的に夏休み真っ盛りであり、ディーラーもお盆に長期休業して稼働日数が少ないこともあり、年間を通じても新車販売台数がもっとも少ない月となるのが一般的である。そのようななかでの車名(通称名別)販売ランキングは、全体の販売台数が少ないからこそ、意外な車種が上位にくることもあり興味深いものとなるのだが……。

 そんな想いをはせながら、自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から軽自動車それぞれの、2025年8月単月締めでの車名(通称名)別新車販売ランキングを見ると、登録車のみではトップ10のうち8車がトヨタ車という、ここのところお決まりのトヨタ一強であったのだが、軽自動車のみのランキングでは、トップ3のなかで激しいデッドヒートが展開されていた。

 軽自動車だけではなく、登録車も含めた全体でも販売トップとなったのは、相変わらずの常連であるN-BOXで、1万4936台を販売した。これに総合及び軽自動車のみでも同じ2位につけるのがスズキ・スペーシア(1万1478台)、3位ダイハツ・ムーヴ(1万847台)と続いていた。2位スペーシアと3位ムーヴとの差はわずか631台となり激戦だったことを物語っている。

 事業年度末の3月や、事業年度締め上半期末となる9月といった増販期には、軽自動車のみのランキングでは、過去にN-BOXが2位(たいていスペーシア)に圧倒的な差をつけてトップとなることも多かったが、ここ最近はそれほど目立った台数差をつけることはかなり少なくなった。そのなかで、ムーヴがここのところ2位の常連であったスペーシアにわずか631台まで迫り3位になっているのである。

 ムーヴは2025年6月に新型が登場し、発売日から1カ月で累計受注台数3万台を達成しているので、バックオーダーをさばくためにも、8月としては異例の出荷体制をとり、新規届け出台数が多くなり台数を積み増したように見える。ただ、全軽自協統計におけるムーヴには、派生車種のキャンバスも含まれている。

 逆にN-BOXやスペーシアは、事業年度締めでの上半期末となる9月実績で販売台数を積み増すためにも、8月はやや数字を抑えてきたのではないかと推測できる。

 軽自動車の販売台数は単純な販売実績ではなく、販売台数の上積みをするためもあり、ナンバープレートを付けただけで(自社届け出)販売台数の上積みをはかり、それがそのまま中古車市場で流通する届け出済み未使用軽中古車が大量に出まわっている。これがいわゆる各単月などにおける販売台数の調整弁ともなっている。ムーヴも派生車種のキャンバスが未使用中古車として大量に出まわっているので、単純にムーヴがよく売れたとするのではなく、内容の吟味も今後は必要となってくるだろう。

 現状では、スズキはハスラー、ダイハツはタフトの未使用中古車が目立つなか、2025年8月にフルモデルチェンジを行った、三菱デリカミニのモデルチェンジ前モデルの未使用中古車も大量に出まわっており、その様子は新型の販売にも悪影響を与えるのではないかというレベルにも見える。ホンダはいまのところ全体でもおとなしいが、半期決算セールとなる9月には台数稼ぎのため積極的な自社届け出を行う可能性が高いので、10月以降はN-BOXの未使用中古車が大量に出まわる可能性も高まっている。

 中古車のローン金利は新車より目立って高いケースが多いので、現金一括払いで軽自動車の新車を購入予定のひとは、未使用中古車の流通状況をこの時期は確認することをオススメする。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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