乗用車のように自動ブレーキが普及すれば事故が減る……ってワケにはいかない! トラックやバスの安全装備普及は想像以上に難しかった (2/2ページ)

自動ブレーキや自動運転はドライバーの質を下げる

 トラックでは2014年より大型車両で自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)が義務装着されている。しかし、自動ブレーキが作動することで荷崩れが起きることを恐れ、自動ブレーキの作動をキャンセルして運行しているケースがあるとのこと。

 そして、2025年9月以降発売の車両については、新型車のトラックやバス(貸切)を対象とし、歩行者にも対応した自動ブレーキ搭載が義務づけられている。歩行者へも対応というと、より安全運行をサポートしそうと期待ももてるのだが、より頻繁に作動し荷崩れや車内事故の増加を懸念する声もあるようだ。

 バスやトラック事業者のなかには、あと付けで警報を発することで運転士が安全運転を心がけるようになり、追突事故削減効果の高いデバイスの装着を進めるところもある。自動ブレーキが作動する前に危険を感知して警報を発することで、プロとなる運転士が適切な回避行動をとることができ、荷崩れや車内事故抑止にも効果を発揮するともいえよう。

 トラックやバスなどプロドライバーの世界では、自動ブレーキを作動させる前に危険を回避することで被害拡大もしくは被害防止を図って、安全運行しているのが現状となっている(自動ブレーキが作動した段階ではもう遅いとの話もある)。ただし、今後働き手不足を背景に、プロ運転士に必要な二種免許の取得要件の緩和が進んでいくことになる。

 そうなると、いま以上に実際雇用した事業者が自動ブレーキなどのデバイスも考慮した、入念な安全運転教育が必要となってくることになるだろう。そして、その先にあるのは、自動運転や完全無人運行となるわけなのだが、車両は自動で動くけど安心・安全な運行レベルは下がっていきかねないとも考えてしまいがちなので、そこを技術でどこまでカバーしていくのかも今後は注目していきたい。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報