リコール問題は完成車メーカーだけの問題ではない
とはいえ、リコールの多くは完成車メーカーというより、そこへ納品している部品メーカーの部品に起因することが多い。より小規模な企業の負担は計り知れない。また、さらに下流の部品メーカーの部品を組み込んだ構成部品(アッセンブリー)の場合、原因となった部品の交換が難しい事例もあり、リコール部品を組み込んだアッセンブリーメーカーがリコールの負担に関わる事例もあるようだ。
リコールが正しく公表されるなら、修理すれば安心して継続利用できるので、リコールを悪く見るのではなくリコールを隠すことを悪とする認識をきちんと理解すべきだ。
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年を追ってリコールの規模が拡大傾向にある背景には、グローバル化により世界で販売するクルマがリコールを出せば、世界規模での対処が必要になることがある。
また、1台のクルマだけでなく、そのクルマで使用する部品をほかの車種にも展開することは原価を抑え、生産段階では原価の低減につながる一方、万一リコールとなった際には、その部品を搭載するすべての車種に波及する。
当然ながら、慎重な設計や開発が求められるが、開発期間の短縮による原価低減が取り入れられるようになって、原価低減とリコールのイタチごっこになっているといえなくもない。
利益の追求は企業として当然の目的だが、クルマはもちろんのこと、身のまわりで使う機器など含め、丁寧な製品開発が欠かせないことを企業は改めて肝に銘じるべきだ。