さまざまな種類の信号によって交通システムが成り立っている
<効率的な右左折を実現する時差式信号機>
時差式信号機は、交差点内での車両の動きをより細かく制御するために開発された方式だ。従来の信号では、対向する方向の車両が同時に青信号となるため、右折車と対向直進車が交差点内で交錯し、交通渋滞や事故の原因となることがあった。時差式信号機は、この問題を解決するため、方向別に時間差をつけて信号を制御する。
たとえば、片側2車線の交差点で、右折車線が1車線しかない場合を想像してみよう。直進車と右折車が同時に青信号になると、右折車が対向車の通過を待つ間に後続の直進車を塞いでしまい、渋滞が発生しやすい。しかし、時差式信号機では、対向車線側の信号を先に赤にして、右折車だけを先に流す。この「右折時差式」信号により、右折車がスムースに交差点を抜けられるため、後続の直進車が滞ることなく進むことが可能になる。
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時差式信号機は、とくに交通量が多く、右折車が多い幹線道路の交差点で効果を発揮する。ショッピングセンターや駅前など、さまざまな方向への交通需要がある場所では、時差式制御により交通の流れが劇的に改善されることがある。近年では、AIやビッグデータを活用してより精密な時差制御をおこなう「スマート信号機」の実証実験も各地で進められており、将来的にはさらに高度な交通制御が期待されている。
これらの信号機は、それぞれの道路環境に適した形で交通の安全と効率を高めている。定周期式の安定性、感応式の柔軟性、時差式の効率性が組み合わさることで、日本独特のきめ細やかな交通システムが成り立っている。
また、このシステムで渋滞や無駄なアイドリングが減り、結果的に燃費や電費にも良い影響を与える可能性がある。ドライバーとして、これらの違いを理解し、賢く道路を利用することが、よりよいカーライフにつながるのだ。