80年代にマクラーレンF1が積んだポルシェエンジンを市販車に投入! 全クルマ好きの夢を詰め込んだモンスター「911 TAGターボ」とは (2/2ページ)

F1マシンのエンジンを搭載したモンスターポルシェ

 結局その夢は叶うことはなく、その代わりにランザンテは11基の「TTE P01」エンジンを入手することに成功。そしてランザンテはポルシェ911のレストモッドという新たなビジネスをスタートするに至ったのだ。

 マクラーレンのF1マシンに搭載されていた当時、この「TTE P01」エンジンは予選では1000馬力を超える最高出力を発揮していたというが、さすがにそれはロードカーの世界においては実用性や耐久性を考えれば現実的な話ではないと判断されたのだろう。

 ランザンテはその最高出力を510馬力に設定したが、1985年にアラン・プロストがドライブしたMP4/2のオーナーであるカスタマーはさらに大きなパワーをリクエスト。その結果11台のうち3台は625馬力仕様のチャンピオンシップ・エディションとして販売されることになった。

 軽量化への取り組みもまた徹底したものだった。ボディーパネルにはカーボンファイバーのほか、アルミニウムなどが使用され、それだけでベースの930型911ターボから54kgの軽量化に成功。リヤのTAGポルシェ製エンジンも、そもそもの3.3リッター水平対向6気筒ターボエンジンよりも129kgも軽量に仕上がっている。

 ランザンテによれば、この他に類を見ないレストモッド930型911ターボが実現する最高速は322km/h。ちなみに先日アメリカのカリフォルニア州モントレーで行われたオークションでは、2億8386万円という驚異的な価格で落札されている。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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