追い抜き目的の車線変更でなければ「追い越し違反」とはならない
たとえば、追い越し車線を走っていたとき、前には自分より遅いペースで走っているクルマがいて、後方からは別のクルマが追いついてきた。その後続車に車線を譲るために、ペースを変えずに、左側車線に移ったら、もともと前にいたクルマを抜くことになってしまった。
これは追い抜くことが目的の車線変更ではないので、「追い越し違反」とはならないはずだ(前走車を抜いて、すぐに右車線に戻ったとすれば違反をとられる)。
車線変更する車両画像はこちら
基本的に渋滞など流れが悪いときに、左側の車線で右側車線のクルマを複数台抜いたとしても取り締まりを受けることはないと考えていいだろう(道交法には、渋滞時の左側追い抜きについて、是とも非とも書かれていない)。
では同じようなケースで、第一車線から登坂車線に移ったとしてもセーフなのか?
これはなかなか微妙なところ。そもそも論として、登坂車線は、坂道でスピードが出ない大型車などのために設けられた車線。大型車両以外も利用すること自体は問題ないが、より速いペースで走るためのスペースではない。
登坂車線のある高速道路画像はこちら
そして、登坂車線は高速道路上であったとしても一般道扱いになっていて、基本的な最高速度は60km/h。したがって、60km/h以上で走るのは即違反。渋滞などで、高速道路の本線が60km/h以下のペースになったときで、なおかつ後続車が追いついてきたというときに、登坂車線に移って前に進むというのは、本来の趣旨には反するのでグレーといえばグレーだが、限られた道路のキャパを有効に使うという意味では間違っているともいい難いので、一度登坂車線に出て登坂車線の終了ポイントまで本線に戻ってこなければ、ギリギリ取り締まりにはあわないと思われる。
もっとも、その本線との合流地点で他の車線より流れが悪くなるので、わざわざ登坂車線に移るメリットは相殺される可能性も少なくないが……。
「渋滞時は第一車線がもっとも流れがいい」というデータもあり、頻繁に車線変更をしても到着時間は変わらないかむしろ遅くなるともいわれているので、流れが悪いときは小細工せずに、走行車線を走り続けることをおすすめしたい。