たった2kmの道路が20年も開通できない! そこにあるのは「お寺とお墓」の難しい移転問題だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■東京都の幹線道路「放射第7号線」は長きにわたって未開通だ

■未開通の区間は2kmほどでそこにはお墓やお寺が佇んでいる

■お墓などを移転することに反対していないが移転するまでの手続きが壁となっている

たった2kmほどの距離が数十年も未開通のまま

 2006年7月の事業着手から20年近くがたつというのに、いまだ全面開通していない道路がある。都心から北西に延びる幹線道路「放射第7号線」の、練馬区大泉学園町2丁目から同区西大泉5丁目までの2km区間である。全面開通を阻んでいるのは約200基の「お墓」と、そのお墓を管理運営しているお寺だ。

 ……というような書き出しにすると、「なんたるワガママ! 公共の福祉のためにも、寺と墓は一刻も早く移転するべきだ!」と感じる人も多いかもしれない。だが事態はそう単純なものではなく、お寺側の事情と気もちも十分にわかるというのが、この問題の難しいところだ。

 当該の道路は、千代田区九段北から練馬区西大泉までを結ぶ延長約19.3kmの都市計画道路「放射第7号線」。都市部と多摩地域を結ぶ重要な幹線道路で、目白通りの延長として機能することになる。1946年に都市計画が決定され、1962年に事業区間を現在の位置へ変更して都市計画を変更。そして問題となっている練馬区大泉学園町二丁目から同区西大泉五丁目までの約2kmは2006年7月に事業認可、2011年2月に工事着手となった。

 しかし、事業認可から約19年にわたってこの2km区間は工事が進まず、西側の1km区間は2025年2月16日にやっと開通したものの、東側の1km区間は開通の目処が立っていない。冒頭付近で述べたとおり、そこにお寺とお墓があるからだ。

 放射第7号線の開通を阻む形となっているお寺の名前は「日蓮宗善行院」。この場所に500年以上前、つまり室町時代に開かれ、地域の人々の先祖代々の墓が立ち並ぶ、由緒あるお寺さんだ。善行院内にあるお墓は全部で約200基。そのうち都市計画道路にかかっているものは約130基である。


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伊達軍曹 DATE GUNSO

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