この記事をまとめると
■マクラーレンが2027年からル・マン24時間レースに復帰することを表明した
■ル・マン24時間レース用に開発したLMDhマシンを「プロジェクト・エンデュランス」として限定販売も行う
■購入者には開発テストやサーキット走行にも参加できる特別なプログラムも付いている
マクラーレンがル・マン24時間レースに復帰
話は2023年の11月に遡る。2023年はブルース・マクラーレンがマクラーレン・レーシングを創設してから60年目にあたるアニバーサリーイヤーだった。この60年という時間のなかで、マクラーレン・レーシングは多くの勝利を手にしているが、そのなかでも特筆しておかなければならないのは、彼らが世界3大レースとされる「インディアナポリス500マイル」、「モナコGP」、そして「ル・マン24時間」のすべてを制覇するという、「トリプル・クラウン」の偉業を成し得ていることだろう。
それを記念して、「750S」をベースにMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)が「3-7-59」とネーミングされた、わずかに6台の限定車を製作したのが、最初に触れた2023年の11月。ちなみに3-7-59とは、インディアナポリス500マイルを勝利した「M16」、モナコGPを制した「MP4/2」、ル・マン24時間の優勝車「F1 GTR」がそれぞれ掲げていたゼッケンを意味している。
マクラーレン3-7-59のフロントスタイリング画像はこちら
だが、マクラーレン・レーシングは、このトリプル・クラウンの過去の栄光としてのみ語ることを選ばなかった。今度は2027年の1シーズンでトリプル・クラウンを達成するという目標を掲げ、現在そのためのニューマシン開発が積極的に進められているのである。
そのなかでもとくに注目されるのは、世界耐久選手権(WEC)に投入が予定されているLMDh(ル・マン・デイトナh)マシンで、マクラーレン・レーシングからは、今年4月に2027年のル・マン24時間レースへカムバックする発表があったが、それにはさらに驚愕のプログラムが同時進行していたのだ。
マクラーレン・レーシングは、ロードカー部門のマクラーレン・オートモーティブとの共同プロジェクトとして、そのLMDhマシンとイコールコンディションのモデルを、特別なカスタマーのために限定販売するというのだ。それは「プロジェクト・エンデュランス」と呼ばれるもので、その製作はマクラーレンのLMDhマシンのシャシーコンストラクターでもあるイタリアのダラーラがそれを担当する。
マクラーレンの「プロジェクト・エンデュランス」のフロントスタイリング画像はこちら
リヤミッドに搭載されるエンジンは、V型6気筒ツインターボにハイブリッドシステムを組み合わせたもので、これもLMDhマシンと同様。FIAのレギュレーションによれば、システム最高出力は500kW(約680馬力)、車重は1030kgということになるだろう。