持ち上げて移動してヒョイって置くだけでしょ……なんてとんでもない! 資格取り立ての初心者が早速「フォークリフト」を動かしたらメチャクチャ難しかった (2/2ページ)

正確にパレットを移動させるのは想像以上に難しい

 それから先は失敗の連続であった。パレットを下ろしたあとに、ツメを上にあげると同時に位置を少し左に動かしたのだ。ここまでは問題ないのだが、ツメを左に移動させたまま下げてしまったので、ツメが最下部の前輪アーム部分に当たってしまったのだ。その瞬間「ガンッ!」。この音を何回聞いたかわからなくなってきた。

 気を取り直して、ツメを正面中心に戻すのだが、これは目印があって操作前に確認すればいいだけのこと。下から伸びている白い棒と、その手前に書かれた白線が重なっていればツメは中心にあるというシンプルなものだが、初心者だけになかなかそこに意識が回らないのは勘弁してほしいところだ。

 一瞬くじけそうになったが、せっかくリーチフォークを運転できる機会を無駄にしたくなかった。もう一度パレットを移動させる操作をやり直した。計測してはいないが、たぶん3~5分で完了できたと思う。

 今回は壊れにくいプラスチック製のパレットを使わせてもらったが、これが木製のパレットだったら最初の一撃で壊していたに違いない。

 見ているだけなら簡単そうなのに、自分でやってみると、タイミングによっては複数の操作をほぼ同時に行なうこともあるフォークリフト操作。荷物の前に移動した瞬間にブレーキをかけながら、ツメを前に出しパレットに差し込む。少しもち上げたら、ツメをチルトさせてから方向転換。ついでにツメをさらに高く上げて、移動先へと後ろ向きで走行。

 こう書いているだけでも、なにをどう操作したらいいのかを考えてしまうほどだ。

 最終的には一連の流れを経験できたわけだが、空パレットとはいえそれなりに緊張感はあった。しかし、それ以上にワクワクしたのも事実で、後輪操舵の俊敏さや、フォークが荷物をもち上げたときの達成感は、なかなか日常では味わうことができないものだった。

 ひととおりのフォーク操作を教えてくれた先生は、また通常の業務に戻っていったが、さっきまで筆者が四苦八苦していた作業を軽々とこなすその姿はその姿は神々しくもあった。

 そして、その手もとの動きをしばらく観察していたが、熟練の技という表現がぴったりで、ツメの動かし方や、止める位置、もち上げる距離、すべてがピタッと一発で決まるのだった。

 最後に本気でこう思った。「リーチフォークを華麗に使えるようになりたいので、バイト募集してないか聞いてみよう」と。

取材・撮影協力
株式会社ロジ・テック トーシン


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