ドイツで開催される「IAAモビリティ2025」で「BEVが脇役」化! 世界中で刻々と変わりゆく電気自動車の立ち位置 (2/2ページ)

世界中でBEV普及への動きが鈍化してきている

 中国もヨーロッパも、燃焼効率に優れ環境や燃費性能も抜群なエンジンを搭載する日本車相手に、もはや勝ち目がないとも考え、BEVで勝機を掴もうと舵をきったわけだが、筆者個人としては、IAA2025ではBEVを積極的に出さなければならないなかで、半ば白旗をあげるという、なんとも複雑な自動車ショーのように見えた。

 東南アジアではBEV普及をリードしていたタイが、そのけん引役だった中国系メーカー製BEVの乱売傾向に歯止めがきかない状態だ。タイだけではなくインドネシアでもHEV(ハイブリッド車)が脚光を浴び、政府が購入インセンティブを充実させた結果。中国メーカーすらHEVを積極的にラインアップしているのが実情だ。

 ヨーロッパでもすでにHEVが注目されて久しいものの、当初から日本メーカーのHEVに否定的な姿勢を示していたヨーロッパメーカーでは、後手にまわっているのが現状のように見える。

 そして、世界第2位の自動車市場を有するアメリカでは、連邦政府のBEV購入時の最大7500ドル(約111万円)という税額控除が2025年9月末で廃止された。トランプ大統領は選挙時からBEVに対するさまざまなインセンティブの廃止を公約にしており、それを実現させた形なのだが、ここへきて、2035年までにICE車の販売を全面禁止にするとしている、カリフォルニア州の動きに注目が集まっている。

 気になるのは、慎重なのが理由ともされているが、政策実行が周回遅れのようにもなって独自路線を歩んでいるようにも見える日本の今後だ。世界的にもBEV販売が停滞するなか、新車販売市場としてはまだまだトップに近い立場にいる日本市場に、欧州や中国のメーカーが熱い視線を示さないわけがないものと考えている。

 日本メーカーも選択肢としてBEVを増やし、販売促進に積極的な姿勢を見せているが、これはあくまで消費者ニーズに対してバランスをとっているだけのようにも見える。海外の現状を踏まえ、くれぐれも慎重で賢明な政策判断を進めてもらいたい。

 つまりBEVの普及は、あくまで市場原理に基づいたものとして扱ってほしいと筆者は考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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