邪魔だし違反なのは確かだけど……やりたくてやってるワケじゃない「トラックの路駐」! 根深い問題に解決策はあるのか? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トラックは乗用車と違って路上駐車をして食事や遊びに出かけているわけではない

■トラックの路上駐車は国の規定である「430休憩」が原因の場合がある

■トラックの路上駐車は待ち時間の「荷待ち」でやむを得ず発生する場合が多い

仕事である以上は仕方なく駐車するしかないという厳しい現状

「物流の2024年問題」が導入される以前から問題になっている大型トラックの路上駐車。本サイトではこれまで、2025年4月28日に大阪府警が大阪市鶴見区の幹線道路にて路上駐車トラックの一斉取締りを行なったことをリポートしたが、この問題は大阪の一部地域だけのことではなく、全国各地の幹線道路で発生している物流の深刻な課題なのである。それはトラックの路上駐車の「スポット化」と呼ばれている。

 また、「路上駐車は好ましくないが、やむなく路上に駐めることも多い」と現場の実情を吐露する全日本トラック協会(全ト協)の関係者もいるという。トラックドライバーは乗用車の路上駐車とは違い、愛車を駐車して、食事や遊びに出かけているわけでは決してないのだ。このトラックの路上駐車にはふたつの大きな問題がある。

 ひとつめは、トラックドライバーの「430(ヨンサンマル)休憩」と呼ばれる国の規定。この規定では、トラックドライバーは4時間運転するごとに30分の休憩が義務付けられている。連続運転時間が4時間以上になるのであれば、その運転を中断して(車両を駐車して)、どのような事情があろうとも休憩をとらなければならない。

 この「430休憩」に違反したら、ドライバー自身は取り締まりは受けないが、運送会社に労働基準監督署からの指導が入ったり、車両の稼働停止など行政処分を受けたりすることになる。トラックには車両の運行を管理する「タコグラフ」という装置がついており、430休憩を「したふり」は物理的にはできないのだ。

 その規定の目的は「ドライバーの健康と安全を守るため」とお題目はもっともでいいことであるかのように感じられるが、「4時間経過する前に必ず休憩」というのが実際の労働環境を考慮されていないのが実状。トラックは車体が大きいため、いつでもどこでも目に入った駐車場に駐めることができず、やむなく路上駐車を強いられることとなっている。

 ネクスコ中日本など高速道路各社は大型車用の駐車スペースの拡充に取り組んでおり、平成30年度から令和6年度までに4000台のスペースを確保したが、それは現状のトラック稼働台数にはまだまだ到底足りず、高速道路ではサービスエリアの誘導線などでの駐車が変わらず横行しているのが現状だ。ドライバーたちはそんな違反をしたくてしているわけではない。労働法規を守るために交通法規を破る。そんなジレンマに日々悩まされながら仕事に従事しているわけだ。


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