荷主の事情ひとつで困難を強いられてれてしまう「荷待ち」問題
もうひとつの問題はトラックの「荷待ち」。ドライバーではなく荷主側の都合で、ドライバーの納品や集荷の「時間厳守」が業界の大原則となっており、業種や積み荷によっては、トラックが「延着」すると運送料金が支払われないなどのペナルティが課せられることも多々あるのだ。
それを防ぐため、ドライバーたちは渋滞など交通状況を見越した上での早めの移動を心がけ、実際にそのように動いているが、早めに到着してもすぐに荷降ろし、納品することはできず、また荷主である倉庫や工場などの敷地での待機はさせてもらえず、ドライバーたちは積み下ろし先の近くの路上での待機「荷待ち」を強いられているのが現状だ。
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2025年5月に交付された「トラック新法」では、荷主や物流事業者に対しこの荷待ち時間と荷役(荷物の積み降ろし)時間の合計を原則2時間以内にするなどの努力義務が課せられたが、それはあくまで「努力義務」(自転車に乗るときはヘルメットをかぶりましょう、という義務と同じ)であり、どこまでその時間短縮が実現できるかは不透明である。
とはいえ、一般道での路上駐車は沿線住民に交通の障害や騒音、ゴミなどの被害を与えており、高速道路のSAやPAでのトラックの誘導路へのはみ出しも事故の危険を誘発する問題になっている。「430休憩」も、ドライバーの労働環境を悪化させない、健康と安全を守るためには全否定はできない。
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これらの問題を解決するには、国など行政や高速道路各社によるトラックの駐車・休憩のためのインフラ拡充はもちろん、荷主側(集荷・納品先)の待機場所の確保や積み下ろし時間への柔軟な対応が求められる。まず必要なのは、「荷待ち・荷役時間2時間以内」を努力義務ではなく法的拘束力のあるものとすべきではなかろうか。