ベルトーネの名を冠する最後のクルマ! ウェッジシェイプを極めた「ヌッチョ」はいずこへ? (2/2ページ)

実走可能にまで仕立てられたが現在の行方は不明

 まずはデザインコンセプトとして発表されたヌッチョだが、ベルトーネはジュネーブショーが終了すると、それを走行可能なモデルとするためのプロジェクトを開始する。

 そもそもヌッチョは、フェラーリのF430に使用されていたアルミニウム製のスペースフレームを流用して製作されたモデルであり、F136E型と呼ばれる4.3リッターのV型8気筒DOHCエンジンをF430から継承することは比較的簡単な作業だった。489馬力という最高出力、465Nmの最大トルクには変化はないが、ボディのデザイン変更にともなって、エキゾーストシステムはベルトーネ独自のものに改められている。6速セミAT(F1マチック)との組み合わせで達成された0-100km/h加速は3.6秒、最高速は316km/hというデータだ。

 さらに、ヘッドライトやワイパーを装備して実走行を可能としたヌッチョは、2012年の北京モーターショーに出品され、同時に買い手を探すことになるが、残念ながらここでの商談は成立せず、その後は2018年までベルトーネに保管されていた。そしてこの年、ベルトーネの破産を理由とするオークションによってあるカスタマーへと売却。先日、RMサザビーズが開催したオンラインオークションにそれは出品されたが、それが新たなオーナーの手に渡ったのかどうかは明らかにはされていない。

 ベルトーネというブランドの名を掲げる最後のモデルとなったヌッチョ。それをふたたび見ることができる日は訪れるのだろうか。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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