この記事をまとめると
■米国の新興メーカー「ヴィットーリ」がデビューモデルの「タービオ」を発表した
■AIや3Dプリンターといった最新技術を活用したクルマづくりをアピールしている
■設立2年で独自モデルをデビューさせた同社はハイパーカー界を活性化させる存在だ
メーカー設立からわずか2年で電撃デビューしたファーストモデル
2023年に設立されたアメリカの新興ハイパーカー・メーカー、「ヴィットーリ」が、かねてから予告していたとおり10月4日に、そのファーストモデルとなる「タービオ」をフロリダ州マイアミで発表した。
ちなみに同社の創業者でありCEOでもあるカルロス・クルーズ氏は、金融やテクニカル、AI産業の分野などで数百万ドルという規模にまで自らの事業を拡大した経歴をもつ人物。氏はかねてから「パフォーマンスとデザインの両面において、新たな魅力というものを定義するハイパーカー」を生み出すことを計画していたというが、その壮大な夢はこのタービオによってついに具現化されたことになる。
「ヴィットーリ・タービオ」のフロントスタイリング画像はこちら
ヴィットーリからは、現在の段階では走行可能ではあるものの、まだコンセプトカーの域を脱していないと説明されているタービオだが、その完成度は非常に高いレベルにあるようだ。
そのボディデザインを担当したのは世界的なデザインハウスとして知られるピニンファリーナ。彫刻的なプロポーションやディテールはきわめて魅力的なフィニッシュで、さらに設計プロセスにAIを活用するなど、最新のテクノロジーを導入したことで、世界最高水準のエアロダイナミクスと軽量性、そして剛性が実現された。カーボンやチタンといった軽量素材の成型には3Dプリンターを積極的に活用。これもまたタービオの技術的な特長として、ヴィットーリが強くアピールするところだ。
「ヴィットーリ・タービオ」のリヤスタイリング画像はこちら
タービオのパワーユニットは、イタリアのイタルテクニカによって開発された6.8リッターのV型12気筒自然吸気エンジンと、前輪を駆動する2基のエレクトリックモーターで構成されている。同社はこちらも先日発表された、同じくイタリアのハイパーカーメーカー、ジャマーロにも、ほぼ同排気量のV型12気筒エンジンを供給しているが、こちらは4基のターボを組み合わせることで1670馬力という最高出力を達成したもの。
タービオ用の自然吸気エンジンの最高出力は830馬力前後とされているが、エレクトリックモーターを加えたシステム全体の最高出力は、生産開始時に1100馬力以上の数字が掲げられるという。
「ヴィットーリ・タービオ」の搭載エンジン画像はこちら
ヴィットーリは、今回発表したコンセプトカーをベースに、今後もさらに最終的な開発を継続。タービオのプロダクションモデルは、2026年中には発表される予定だ。その生産はイタリアで行われることになるが、それはここまでに紹介したピニンファリーナやイタルテクニカとの関係を考えれば当然の選択でもある。
注目の生産台数は50台限定である。正式な価格はまだ発表されていないが、早くもヴィットーリというブランドとファーストモデルたるタービオがもつパフォーマンスと美しさには、多くのリッチなカスタマーからの熱い視線が注がれているようだ。
「ヴィットーリ・タービオ」のリヤまわり画像はこちら
設立からわずか2年という期間で独自のモデルをデビューさせることに成功したヴィットーリ。その存在は今後、さらにハイパーカーの世界を活性化させ、同様のサクセスストーリーを描く、次なる新興勢力の誕生にも大きな追い風となるのは間違いないだろう。