オイルの燃焼温度は350度! エンジン内部は2000度! だったらなんでエンジンオイルは燃えないのか? (2/2ページ)

オイル上がりとオイル下がりとは

 エンジンオイルが燃えないことは構造上当たり前……というのはこうした理由によるものだが、逆に燃えるケースもあるのだ。つまり、エンジンオイルが燃焼室内に入ってしまった場合で、混合気と一緒にエンジンオイルが燃えてしまう場合だ。

 エンジンオイルの燃焼室内への進入経路はふたつある。

 ひとつは、シリンダーヘッド側から浸入するケースで、これはバルブステムの摩耗によるもの。もうひとつは、ピストン側から浸入するケースで、こちらはピストンリングやシリンダー壁の摩耗によるものだ。それぞれ、ヘッド側(上)から浸入するケースをオイル下がり、ピストン側(下)から浸入するケースをオイル上がりという。

 この両ケース、よほど距離を走り込んだクルマでなければそう起きることはないが、オイル下がり/オイル上がりを起こすと燃焼室内でエンジンオイルが燃え、排気管から真っ白いオイル煙を吐き出すことになるのですぐにわかるはずだ。どちらかといえば、旧車と呼ばれるカテゴリーのクルマで気を付けたいケースで、どちらの場合も根本的な改善にはオーバーホールが必要だ。

 オイル下がりの場合は、バルブステムだけでなくバルブシートなどの摩耗もチェック、オイル上がりの場合はピストンリングの摩耗やシリンダー壁の摩耗。この場合、ピストンリングの交換、シリンダー壁はボーリングによってシリンダー径を拡大。0.25mm、0.5mmといったオーバーサイズのピストンに換装し、あわせて新品のピストンリングを組み込む修理を行うのが一般的だ。

 エンジン内で、基本的にエンジンオイルが燃えることはないが、逆にオイルが燃えるようなケースは、エンジン内部に摩耗があることを示しているので要注意だ。


この記事の画像ギャラリー

新着情報