日本国内での普及は進んでいないのが現状
バイオ燃料に関しては、本欄でも食用植物を原料とする第1世代、非食用植物を原料とする第2世代があることをこれまで紹介してきたが、食物用植物を原料とする製法は食料問題の上から大きな支障があり、現在は第2世代に移行しつつあるとお伝えしてきた。
日本でE5、E10ガソリンか普及しなかった理由ははっきりとしないが、現時点でいえば、カーボンニュートラルの時代を間近に控え、自動車のEV化に拍車がかかっていること、また内燃機関を使う自動車には合成燃料(e-fuel)や水素燃料というカーボンニュートラル燃料が着目されていることなどもあり、対費用効率の問題も含めて普及しなかったのでは、と考えられる。
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ちなみに、エタノールの発熱量は5057kcal/l、ガソリンの発熱量は8400kcal/lとなり、熱エネルギーとしてはガソリンの約60%程度にあたる。熱エネルギーの点ではガソリンエンジンのほうが高出力だが、エタノールのほうがアンチノック性が高いと単純比較はできないが、出力の点ではガソリンに分がある。
また、エタノールは親水性のある含酸素燃料なので、金属に対する腐食作用やゴム、樹脂系部品に対する膨潤、劣化などの悪影響が想定されるため、エタノールを含む燃料の使用に際しては、エンジン各部でこれらに対する対策が必要となる。現状の日本車が、E5、E10燃料に対応しているというのは、じつはこうした対策が行われていることを意味し、これらは海外仕様を視野に入れたエンジンの開発、製造が行われているためだ。
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カーボンニュートラルに対してひとつの目安とされる2030年を5年後に控え、果たして自動車はどんな道に進んでいくことになるのだろうか? その行方が注目される。