この記事をまとめると
■アメリカではヒョンデよりもデザインが先鋭的なキアの人気が高まっている
■ヒョンデは不正問題が明らかになり人気が下降したまま戻りきっていない
■最近のアメリカではベトナムなどのアジア圏の自動車メーカーが注目されている
アメリカでKIAが人気に
ここ数年、南カリフォルニアを訪れフリーウェイを走っていると、韓国系ブランドではヒョンデより起亜(以下:キア)ブランドのほうを多く見かけるイメージが強くなっている。キア車のほうがエクステリアデザインが凝っているモデルも多いので、単に目立っているだけなのかなぁと思い、2024暦年(1月から12月)締めでの両ブランドのアメリカ国内での年間新車販売台数をみると、ヒョンデが83万6802台なのに対しキアは79万6488台となり、その差4万314台でヒョンデのほうが販売台数は多かった。
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これを13年前の2011暦年締め年間新車販売台数でみると、ヒョンデが64万5691台に対し、キアが48万5492台となり、ヒョンデが約16万台差をつけていた。近年は台数差がそれほどない上で、キアの際立ったエクステリアデザインが目立つ状況から、街を走っている姿を見かける頻度は、両ブランドではほぼ同じ印象だ。
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そんなキア(起亜自動車)は、1999年にヒョンデ自動車傘下となっている。もともとアメリカ市場においては、ルノーに対するダチアのようにローコストブランド(安さが売りのブランド)のようなイメージが強かったのだが、その後2010年代後半あたりから、エッジの利いたエクステリアデザインを採用するようになると、市場の反応も変化を見せてきた。さらに、2017年にFR(後輪駆動)の5ドアファストバックモデルの上位車種、スティンガーをリリースしたこともあり、ブランドステータスを高めるようになってきた。業界関係者からも、「最近のキアは……」と一目置かれるブランドとなってきたのである。
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2000年あたりには日本車が、アメリカ市場において鉄板ともいえる高いステータスを不動のものとし、圧倒的な再販価値の高さを背景として、金額抑えめな月額リース料金をテレビCMでアピールしていた。一方で韓国車は、日本車ほどの再販価値にはまだほど遠く、魅力的な月額リース料金をアピールできなかったので、手厚い車両保証などをアピールしていた。
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しかしキアは、コロナ禍直前あたりから再販価値の高まりを見せ、テレビCMでも月額リース料金で勝負してくるようになった。しかし、グループの親玉、ヒョンデは同じ時期でもリース料金で勝負ができなかった。つまり、実質的に市場での評価、つまり再販価値ではキアのほうが好条件となってきたのである。アメリカ国内における日本車の強みは高品質で再販価値が高い点で、リースやローンを使えばお得に乗ることができるのがメリットであった。