ヒョンデがアメリカで失速気味! 同門キアどころかベトナム&中国メーカーにも喰われる可能性 (2/2ページ)

アメリカにアジア圏の新興メーカーが台頭してくる可能性

 ヒョンデは2010年代前半に、アメリカ市場で燃費偽装問題を起こしている。アメリカの人たちは卑怯な行為はとくに許さない傾向があり、この燃費偽装問題が尾を引く形でヒョンデ車は2025年のいまでも十分な再販価値を維持するまでになっていない。なので、キアが魅力的なリースプランで勝負しているのに対し、テレビCMでは相変わらず手厚い車両保証などをアピールしている。

 そして2025年9月、アメリカ・ショージア州にあるヒョンデ自動車などの工場で当局の強制捜査が行われ、不法滞在及び不法就労していた475人が身柄拘束される事件が発生した。報道ではESTA(アメリカでの短期商用や観光を目的とした渡航者を対象とした電子渡航認証システム)で入国して就労していたケースもあったとのことであった。

 卑怯な手段で入国し、アメリカ人の雇用を奪ったともとれる今回の事件は、いまは影響は未知数なれど、ヒョンデのアメリカ国内における新車販売の今後に影を落とす可能性が懸念されている。

 現地では、韓国系ブランド云々は抜きにしても、何かと印象の悪いことで目立ってしまっているヒョンデとは異なり、キアは韓国系ブランドとしての認知がほとんどされていないうえに、格好いいブランドとして注目されている印象がある。

 この現状を見ると、筆者的にはアメリカ国内ではキアと、すでにアメリカでも展開しているヒョンデの上級ブランド「ジェネシス」という、2ブランド体制にしたほうがいいのかもしれないとも考えている。家電製品などでもそうだが、アメリカに限らず韓国系ブランドは日系ブランドと勘違いされていることが多い。キアやジェネシスも、意外なほど日系ブランドと思われているのではないかとも、筆者は感じている。

 すでにロサンゼルス地域ではベトナムのBEV(バッテリー電気自動車)ブランドとなるビンファスト車もチラホラ見かけるようになっている。トランプ大統領が国を率いてる状況では、直接の進出は厳しいかもしれないが、ちょっと長い目で見れば、中国系メーカーの対米進出もほぼ確実だろう(すでに隣国メキシコは多数の中国系メーカー車が販売されている)。

 いまのアメリカ市場の雰囲気からして、ベトナムや中国メーカーが本格進出してきたとき、最初に割を食うのは韓国系ブランドといっても過言ではないだろう。前述した3ブランドから2ブランドへの整理統合や、ヒョンデからの改名というのも、あながち筆者の絵空事では済まなくなるかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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