シビックで国産ハイブリッドの実力を再確認
そのようななか、今回南カリフォルニアを訪れた際に総走行距離約1600マイル(約2500km)にわたり、HEVを運転する機会を得た。
運転したのは2025年モデルとなる、「ホンダ・シビックセダン・スポーツ ツーリング・ハイブリッド」。2024年に2025年モデルとしてデビューし、2025北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。2リッター直4エンジンをベースにした2モーター式となるハイブリッドユニットは、システム総合出力200hpを発生する。
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かつては、カローラやサニーなどとともに大衆車ともいわれたシビックであるが、今回試乗した現行シビックセダンは全長約4693×全幅約1800×全高約1414mmと、かなり立派になったなあと感じたのだが、南カリフォルニアで駐車場に停めるとスペース内で余白が目立つので、それでもコンパクトカーなんだと実感じた。
試乗した印象は、とにかく気がつくといつもEVモードで走っていたということ。マイルをkm、ガロンをリットルに換算して何回か燃費計測を行ったのだが、デスバレー周辺の砂漠地帯をメインに、途中険しい峠越えなどを行った時の燃費は約21km/L、ロサンゼルス地域でフリーウェイメインでの平地走行時には約25km/Lとなり、いわゆるカタログ数値を超えていた。
ガソリン給油時もその給油量の少なさに驚かされた。タンク半分よりやや多いぐらいで給油しても4ガロン(約15リットル)、燃料ゲージで残り2メモリぐらいで給油しても7ガロン(約26リットル)しか入らないのである。燃料タンク容量を調べてみると約40リットルであった。カタログ数値での燃費をベースに換算すると、タンク満タンでの航続距離は840kmとなる。とにかく一度満タンにすると、ガソリンがなかなか減らない、アメリカのひとたちもこのような「魔法」を一度味わえば2度と離れることはできないだろう。
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燃費性能だけではなく2リッターエンジンにモーターアシストが加わるので加速性能も秀逸であり、フリーウェイでの本線合流時や、郊外で大型トレーラーを追い抜くときにその凄さが感じられる。郊外でのとくにフリーウェイや砂漠の一本道などではクルーズコントロールが必需品であり、これがないとたちまち膝がガクガクと鳴きだしてしまうのだが、シビックのそれはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)となっており、追い越しをかけようと半身ほど隣の車線に移動させたとたん気持ちよく加速してくれるだけではなく、減速も非常にスムースであり、前方に大型トレーラーがいて、それに近づくなかで設定速度から緩やかに減速ははじまったら追い越しをかけるという自分なりのリズムを確立することができ、快適な高速走行を楽しむことができた。
過去に純ガソリン車日系コンパクトカーを借り、デスバレー最寄りのフリーウェイのインターチェンジ近くで満タンにして、デスバレー周辺をドライブして戻ってくると燃料タンクがほぼ空っぽとなった。小排気量で燃費のいいエンジンであっても、燃料タンク容量が少ないため、遠乗りする時はそれより排気量も大きくなり、当然燃費性能もやや劣る。
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だが、燃料タンク容量がたっぷりしている1クラス上のクルマを選び航続距離を稼いでいたのだが、今回シビックを運転してみると燃費性能は文句なくよく、おまけにストレスを感じさせないパフォーマンスを両立しており、さらにコンパクトカーなのにスペック上では1タンクで約800kmも走るのだから「これで十分」となるケースも多いのではないかと感じた。
ボディサイズはともかくとしても、HEVの普及により排気量のダウンサイズ化にスピードがかかると同時に幅広いカテゴリーでHEVが普及すれば、BEVを無理やり普及させるよりは、トータルで見ればコスパだけではなくタイパもいい選択になるのではないかと今回強く感じた。