トランプ関税はアメリカ人にも歓迎されていない! アメリカ国内の自動車価格も「悪影響」を受ける可能性アリ

この記事をまとめると

■トランプ関税により日本からの完成車の追加課税税が2.5%から15%へ大幅アップした

■米自動車産業界にもトランプ関税を全面的に支持することができない複雑な事情がある

■トランプ関税がアメリカ人に及ぼす影響は計り知れない

日本車だけにとどまらないトランプ関税の影響

 日本からの完成車輸入は15%。トランプ政権は当初、それまでの2.5%に25%の追加課税で合計27.5%という厳しい条件を日本に要求していた。日本の自動車業界では、「最悪の状況は回避できた」「まずはひと安心」といった安堵の声がある一方で、「2.5%から15%への大幅増税の影響は計り知れない」と懸念を示す声もさるのが実情だ。

 では、アメリカ国内では一連のトランプ関税についてどう見ているのだろうか。

 まず、アメリカ自動車産業界としては「全面的に支持」というわけでもない。なぜならば、デトロイト3(GM、フォード、ステランティス)は海外からの部品輸入や完成車輸入を行っているからだ。とくに、USMCAの影響が大きい。2020年7月から施行されているアメリカ・メキシコ・カナダ協定のことで、それ以前はNAFTA(北米自由貿易協定)と呼ばれていたもの。

 完成車輸入だけではなく、主要部品をUSMCAを活用するケースも珍しくない。たとえば、GMはフルサイズピックアップトラックやフルサイズSUVの車体などをメキシコ生産してアメリカの最終組立工場に輸送している。

 現時点でもUSMCAにおけるトランプ関税の行方は流動的な状況にあり、アメリカ自動車産業界としても今後の動向を注視しているところだ。そもそも、デトロイト3は北米から海外への輸出量が多くない。北米生産車は北米内で消費される構造だ。そこにUSMCAを活用した流れがある。

 次は、アメリカ国民のトランプ関税に対する考え方だ。

 ご承知のとおり、近年のアメリカは分断された社会といわれている。二大政党である共和党と民主党それぞれの支持者による政治的な思想での分断だけではなく、富裕層と貧困層との分断や重厚長大な産業とスタートアップなどの新興勢力による政治への対応での分断が見られる状況だ。

 その上で、アメリカにおける保護主義という見方が強いトランプ関税についても、アメリカ国民の間で意見がわかれるのは当然のことだと思う。

 アメリカ国内生産ではない商品が数多く出まわっている現状では、トランプ関税はアメリカ国民の生活に直接かかわる。自国の復権、自国産業の発展というトランプ政権の方針と、ひとりの人間としての生活のあり方とは相容れないことがあるだろう。

 GMのシボレー・シルバラードやフォードF150の新車価格が、トランプ政権の影響で上がるかどうかもアメリカ人にとっては大きなことだが、トランプ関税がアメリカ人に及ぼす影響は計り知れない。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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