高速の中央分離帯に生えてる植物ってエラくね? 24時間排ガスに耐えている植物には重要な役割があった

この記事をまとめると

■高速道路の中央分離帯に植えられた植物はドライバーの安全を守っている

■中央分離帯の植物はサザンカ・マサキ・カイヅカイブキの3種類が多い

■日本初の高速道路として1963年に名神高速が開通してからずっと使われ続けている

高速道路の中央分離帯に植物が植えられているわけは?

 普段はあまり気にしないのだが、高速道路で渋滞につかまったときによく考えることがある。それは「中央分離帯に生えている植物って大変そうだ」と。なにせ24時間ずっと走行する乗用車やバイク、トラックなど多数の車両の排気ガスを浴びせられているうえに、昼間は日光で明るく、夜はライトで照らされ、ひとときも休む時間がないんじゃなかろうかと思うからだ。クルマが進まないとついつい中央分離帯に視線が行ってしまうために、毎度同じことを考えてしまうのだが、それでも緑色を保って必死に生きている姿は感動すら覚える。

 もちろん、こうした中央分離帯に生えている植物は、勝手に自生しているわけではない。では何のためにこんな過酷な環境下に植物を植えるのか? その理由はドライバーの安全を守るためだった。

 高速道路の中央分離帯に植物が植えられている理由はいくつかあるので、順を追って説明していこう。

 まずひとつめだが、これは対向車のヘッドライトの眩しさを軽減するためだ。いくら中央分離帯で上下線が分割されているといっても、植物がない場合、車高の高いトラックのヘッドライトの光が反対車線のドライバーに当たってしまうこともある。また、最近ではLEDヘッドライト普及によって、光量がアップしているために、夜間走行時に対向車のライトでまぶしくならないように遮蔽物としての役割があるのだ。

 次に、植物の役目として挙げられるのが環境問題への配慮だ。植えられた樹木は光合成によって二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化を防ぐ効果も期待できるというわけだ、

 さらに、植物が植えられていることで道路の形がわかりやすくなるという効果がある。確かにガードレールやフェンスが連続するよりも植物の緑色は視認性が高いように思える。

 そして最後、まっすぐで単調な景色にアクセントを与えてくれるのが植物なのだ。単調な景色の連続はどうしても眠気に襲われ、また気がつかないうちにスピードが上がってしまうこともある。そこで視界に植物があることで、景色に変化が生まれて眠気防止などにつながるという、非常に重要な役割をもっている。

 では、こうした安全面に役立つ植物の種類はというと、NEXCO中日本によればサザンカ・マサキ・カイヅカイブキの3種類が多く植えられているとのことだ。その理由はいくつかあるが、遮光効果が高く常緑であること、維持管理が容易であることなどを踏まえたうえでの選定なのだ。

 また、中央分離帯という場所を考慮して、手入れのときに作業員が安全に作業できるように背の高い植物が少ないのも特徴のひとつだ。

 では、こうした中央分離帯の植物はいつから植えられているのかというと、その歴史は1963年の名神高速開通まで遡る。要するに日本初の高速道路が生まれたときから使われ続けている設備の種類ということだ。

 普段、意識してみることも少ない中央分離帯の植物だが、長い歴史とともにいまでも安全な走行を支え、地球環境にも寄与していると考えると感慨深いものがある。


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