ツライチのためならなんでもやるぜ! 純正ホイールでやるツワモノまでいる「リバレル」ってどんな手段? (2/2ページ)

スペーサーでもなく別のホイールへの交換でもない方法

■リバレルってなんぞや?

 ツライチの手法には、リバレルという荒技が存在します。リバレルは、バレル(=樽)をつくり直すという意味で、バレルはホイールのリム部分を指し、ホイールを分解して組み直す方法のことをそう呼んでいます。先にいっておきますが、ホイールは重要保安部品に該当するため、分解してしまうと公道で使えなくなる可能性がかなり高くなります。そのことは頭に入れてください。

 さてリバレルの方法ですが、まずは2or3ピースホイールが必要です。これらは、ディスク面の部分とリム部分が専用のピアスボルトで締結されており、ボルトを外すことでディスク部とリム部を分離することができます。ホイールを縦にしてリム側から見たとき、ディスクが外に寄っているホイールがほとんどですが、これを分離してリムをひっくり返して組み立て直すとどうでしょう? ディスク面がかなり奥まった深リムのホイールになり、(マイナス)インセットが大きいので、ホイール装着面から大幅に外に出せるようになります。

 この方法は2or3ピース共通ですが、3ピースホイールがベースなら、そこから細かいインセットの調整も可能になります。3ピースホイールは、同じメーカー内でリム部分のつくりを規格化していることが多く、そのことを利用して、いくつかのオフセット違いのリムを用意することで、その組み合わせ次第でリム幅とインセットにバリエーションを作り出せるというわけです。

 旧車用の当時ものホイール界隈では、インセットが大きくリム幅が広い深リムものはプレミア価格が付いていますが、同じタイプでもインセットがプラス寄りのものは比較的安価なので、リバレルによって憧れの深リムが手に入れられるというわけです。

 そして、さらにアクロバティックな方法でリバレルを行ってしまうツワモノなカスタムビルダーもいます。カスタムの世界には、純正の見た目をなるべくキープしつつ、ありえない車高の低さや深リムを実現することが最大に評価されるジャンルがあります。その価値観のなかでマニアをうならせるために、純正ホイールのリバレルを敢行してしまいました。

 純正ホイールはほとんどが1ピース(一体型)のため、リバレルの対象ではありませんでした。しかし、とある3ピースのホイールと純正を並べてみたところ、「イケるんじゃね?」となり、純正ホイールのディスク部分を切り取って、3ピースホイールのリム部分と合体してしまおうという作戦が始まります。

 ただ「言うは易し」で、「どうやって切り取るねん!」とか「どうやって精度出しながら結合面をつくるんや!?」(※関西弁は創作です)という大きなハードルが立ちはだかります。それを工夫と手間をかけてなんとかやり繰りし、純正の見た目の深リム(ワイド)ホイールを実現してしまいました。

 先述のように、公道の走行はいろいろ問題がありますが、その筋では夢の実現といっていい快挙でしょう。ヤル気があれば実現できる。カスタム魂は留まることを知らない、ということを改めて実感させられました。


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