日本市場はHEVの普及が最優先
深刻な大気汚染問題解決のために、BEV普及に熱心な新興国も多いが、HEVと比べても割高なBEV普及には、政府の補助金などによる支援が必要不可欠となっている。日本でもここへきて日系ブランドでもラインアップが増えてきているので、販売現場では購入補助金の予算額消化が早まるとの懸念が高まっている。政府補助金は事後申請、つまり初度登録が終了してから本人申請が原則となる。
つまり、購入時には補助金を予算の一部として考えることはできず、購入後に政府からもらえるご褒美的存在となるのだが、いままでなら一部ディーラーで申請を代行することもあったが、今後は補助金申請しても予算消化などにより補助金をもらえないというケースも目立つとし、代行を受けると責任問題にも発展しかねないので、契約時にお客には「補助金がもらえない可能性もある」と説明し、あとは本人側の申請ということで、かかわらないようにしているということである。
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なので筆者的には、「いきなり全車をBEVに」という動きよりは、日本ではまず乗用車だけでも「HEV100%」を目指していいようにも考えている。トヨタはすでにカローラシリーズの一般量販車についてはハイブリッドのみのラインアップとなっているし、アメリカを見てもトヨタ車ではHEVしかない車種も増えてきているので、トヨタはゆるやかに自社ICE車のラインアップを、HEVのみにする動きを見せているように感じている。
海外の報道では、「HEVが注目されている背景をBEVへと流れる一歩手前の消費行動だ」と報じる傾向が目立っている。それなら、まず日本国内で少なくとも販売される新車(せめて乗用車)の100%HEV化(軽自動車は除く)を進めてから、「BEVという選択肢もありますよ」としたほうがいいのかもしれない。
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新興国では四輪車より二輪車のほうが保有台数の多いケースもあり、まずは二輪車からBEV化を進める国も目立っている。日本では軽自動車が四輪新車販売台数全体の4割に迫ろうとしている。
ただし現状は、スズキがマイルドハイブリッドユニット搭載に熱心なぐらいで、軽自動車はHEV化があまり進んでいないので、軽自動車についてはHEVを飛び越えて、一気にBEV化を進めてもいいのではないかとも考えている。政府補助も軽自動車規格BEV普及に比重を高め、まずは軽乗用車全面BEV化を進めていくのもいいかもしれない。
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対岸の火事ともいえる、いまの海外におけるBEV販売低迷と顕著な乱売傾向というのを避けるためにも、政府と連携して日本的な車両電動化というものを構築し、慎重に進めるべきだろう。