ボツになった挙げ句の果てに……
ル・マン常勝で、パリ・ダカール連覇、アウトバーンの帝王たるポルシェが涙ぐましいまでの努力をしたにもかかわらず、結果は採用ならずにボツ。結局のところどこのメーカーも採用されず、中国政府は4年間にわたる自動車産業コラボ計画を一方的に終了させてしまったのです。これにはポルシェだけでなく、メルセデス・ベンツなどほかのメーカーもがっくりと肩を落としたことでしょう。なにしろ、ポルシェなんてC88を年間300万台も売る計画を立てていたのですから、いい面の皮とはこのことです。
ちなみに、メルセデス・ベンツはちゃっかりしていて、中国向けに開発したFCC(ファミリー・カー・チャイナ)をのちにAクラスとして発売しています。が、ポルシェがファミリーカーというのは無理筋もいいところで、C88はコンセプトカーが1台作られただけで終了ということに。
メルセデス・ベンツ FCCのフロントスタイリング画像はこちら
ここまでならば、「残念だったね」で終わりにもできるのですが、じつは後日談が目も当てられないほどひどいことになっています。前述のとおり、某中国車メーカーがC88のデザインをほぼそのまんまコピーして発売という暴挙。さすがにポルシェも法的措置を取ったとされていますが、いかんせん相手は4000年の「模倣文化」を蓄積しており、「他人が考えたものを真似するのは悪いことだ」という認識が薄いのだと、泣き寝入り。
一部の情報筋は、中国当局がポルシェをはじめとした海外メーカーのアイディアや技術にアクセスし、それらを活用して地元の製造業者を活性化させるための計画だとしています。が、決定的な証拠はあげられておらず、単なる噂話にすぎないものの、これを信じているメーカー関係者は少なくないようです。
ポルシェC88のサイドビュー画像はこちら
ともあれ、C88のボツから30年が過ぎたいまでは、中国本土で年間8万台ものポルシェが売れているとのこと。ヴィーデキング元社長も少しは溜飲が下がるのではないでしょうか。しかしながら、売れているだけに丸パクリするメーカーはあとを絶たないようで、ポルシェと中国の関係は、数字が表すほど良好ではないのかもしれません(笑)。